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【後編】千葉ロッテマリーンズの大石さんに聞く、マリーンズのスポンサーシップについて

千葉ロッテマリーンズで長年スポンサーセールスを担当していて、2022年4月より営業企画部を立ち上げた大石賢央(かつひさ)さんにお話しいただき、営業企画部の紹介や具体的なスポンサーシップセールスの事例について大いに語っていただきました。

前編では
・はじめに(大石さんの自己紹介)
・千葉ロッテマリーンズのスポンサーシップセールスとは
・スポンサーシップ事例①採用課題の解決
・スポンサーシップ事例②京成電鉄様との160km/hプロジェクト
についてまとめています。まだ読んでない!という方はこちらからご覧ください。

後編では、最後のスポンサーシップ事例と大石さんが考えるスポンサーシップセールス、今後実現させたいことについて触れています。ぜひ最後まで御覧ください!

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スポンサーシップ事例③地域コミュニティの発展や社会的課題の解決

平地 じゃあ、もう一声というところで最後の事例共有お願いします。

大石 我々はプロ野球球団なので、子どもたちに夢を与える、元気や勇気を与えることが使命だと思っています。千葉県にある球団として、日頃から地域貢献や社会貢献活動を実施している中でご縁をいただいた案件をご紹介させていただきます。

TEAMMATES(チームメイツ)事業というものですが、長期療養中であるお子様に、1名千葉ロッテマリーンズに入団していただき、月に1度程度選手と一緒に活動をするという社会貢献活動を開始します。

これまで千葉ロッテマリーンズは県内の小学生を夏休み期間に球場に招待する「ちば夢チャレンジ☆パスポート・プロジェクト」という取り組みなどを行っていましたが、より社会貢献活動に力を入れていこう、地域の社会課題の解決に球団が取り組んでいく形で今年から「MARINES LINKS」という社会貢献プロジェクトを開始しました。その取り組みの一つの事業としてTEAMMATES事業を始めます。

平地 そうですよね、聞いたことがないですからね。

大石 慶応義塾大学野球部さんも取り組みをされており、六大学野球の始球式で登板した動画が拡散されていましたが、同じような社会貢献プロジェクトをプロ野球球団で初めて、千葉ロッテマリーンズが始めさせていただきます。

平地 しかも練習も参加できるんですよね。

大石 コロナ禍という状況ですので、感染対策を施したうえで活動を行いますが、実際に監督や選手とコミュニケーションを取っていただいたり、野球の練習を経験していただきます。実際に参加していただいて、喜んでいただけたら、嬉しいですね。

球団の大きな枠組みの中の1つとして社会貢献活動とか地域貢献活動には、今後も取り組んでいきたいですね。

平地 その取り組みにスポンサーさんが付いてくれている、ということだと思うのですが、その企業さんにこういった取り組みをしようと思っていて、この取り組みにぜひご賛同いただけませんか?というかたちでセールスをしたのだと想像しました。企業さん側がその話を聞いたときの反応はどうだったんですか?

大石 今回ご賛同いただいたスポンサー企業さまは当初より社会貢献活動や地域貢献活動に積極的であることを伺っており、初めて当該事業のお話をさせていただいたときにも非常に好意的に捉えていただいたと聞いています。

ご賛同いただいたスポンサー様の想いと千葉ロッテマリーンズの想いが成就でき、今回の事業が立ち上がったことは、球団としても初めてのことでしたし、事例が出来たことで、今後このような活動を広げていきたいと考えています。

平地 イチ企業が地域貢献の活動をするのってすごく難しいな、といつも思うんです。会社の周りのゴミを拾ってきれいにしましょうみたいなことももちろん素晴らしい貢献活動だなと思いますし、色んなやり方はあるかなと思うのですが、冒頭にお話した野球の球団にはその周りに企業や行政、ファン、色んな人がいると。その人たちを巻き込んでなにか取り組みをするっていうことは、やっぱりイチ企業ではなかなかできないことだと思います。

球団がその取り組みをやるぞ!というときに、そこに企業が参画して、取り組みを一緒にやっていくという社会貢献への賛同の仕方というのは、今ニーズがすごくあると思います。今後もかなり盛り上がるのかなと思っています。そこに対していかがですか?大石さんのお考えは。

大石 まさに、地域への社会貢献活動を推進していくのは我々の使命だと思っています。今回の事例には多くのヒントが隠れていたと思っています。プロ野球球団の取り組みは球団広報がリリースをするとありがたいことにニュースにしてくださったり、色んなメディアに出していただけたりするのが我々の強みであり、スポンサーメリットの1つだと思います。

もう1つ今年から始めた社会貢献活動には、千葉県内の12の市(6月末時点)と連携をさせていただき、市内の小学校(一部では中学校も含む)に消毒液を寄付させていただくという取り組みがあります。これもご賛同いただいたスポンサー様がいらっしゃった上で実施をさせていただいております。

平地 一緒にやっているという。

大石 これも社会貢献活動の1つだと思っています。日常を取り戻す。学校生活を普段通りに過ごしてもらうため、感染リスクを少しでも抑えるために我々の出来ることは何なのか、考えたうえで県内12の市の関係者の方にも趣旨をご賛同いただき本プロジェクトを実施しております。

平地 素晴らしい。

大石 地域の皆様あってのプロスポーツだと思いますので、今後も出来る限り続けてまいりたいと考えています。

平地 通常企業が消毒液を寄付しようと考えても、小学校には置けないですよ。小学校にそれをお話してもなかなかイチ企業さんだと難しいですよね。

ただ、マリーンズさんを通せばみなさんのためにやりたいことがやれる。これは逆にスポーツチームを使わないとできない話だと思うんですよね。企業にしてもすごく有効な活用の仕方だと思いますし、球団さんとしてもそれをしっかりとカタチにしていくっていうのは、素晴らしいなと思います。良い事例ですね。

大石 色々やらせていただいています。

大石さんが考える、スポンサーシップセールスとは

平地 今3つの素晴らしい共有をいただいて、僕も普段から考えていること、思っていることも聞きながら整理できました。この3つの事例もそうですし、もちろん他にもご紹介したい事例がたくさんあるかなと思うんですけど、今までの経験や事例から、大石さん的にスポンサーシップ、スポンサーマーケティング、スポンサーの活用とは?みたいな部分で総括的なまとめのようなお考えはありますか?

大石 私がスポンサーセールスをしている中でずっと思っていたのは、どうやったらこのお客様のお役に立てるかということだけですね。

冒頭の方にてワンストップという話をさせていただきましたが、プロ野球チームだからこそ色んな角度からお役に立てると思っていますので、ずっとそればっかり考えてきたなと思っています。仮にお客様側にニーズがなかったとしても別の話題で価値をご提供できる。一般的な事業会社だと難しいと思っています。

『我々はこれに特化した企業です』と言って、「これ」にニーズがなかったらその会社様とお取引ができないわけじゃないですか。会社は何かしらの課題を抱えていますし、抱えている課題って色々あると思います。我々はニーズを汲み取り、お客様のお役に立てるよう様々な角度からご提案すればきっとご縁ができるものと考えております。総括的なまとめになっているかはわかりませんが、私はどんな形であれお役に立てることが出来るというのはスポンサーシップの1つの考え方かなと思います。

平地 なるほど。もちろん日々の泥臭い作業も仕事もあると思いますけど、今のお話を聞くと商材もめちゃくちゃおもしろくて、やりがいもめちゃくちゃあるじゃん!っていう話だと思います。スポンサーシップのセールスっていうものがめちゃくちゃおもしろいじゃんって僕は今より実感しました。

大石 スポンサーシップという商材は目に見えるものはありますが実際には無形商材・サービスを販売していると考えています。スポンサーシップの権利を活用するとどのような効果を得ることが出来るのか、お客様にイメージしていただくのが我々のご提案です。お客様がイメージをより具現化できれば、イメージが付けばスポンサーシップという商品をご購入いただけます。だからこそ無形商材。やりがいもありますし、ものすごく楽しい仕事だと思います。

「モノ」がある商品・サービスって、実際に体験していただいて使っていただいて、いいなと思っていただければご購入いただけます。もっと言うと、「モノ」が良いことが購買理由になり、「担当者が良い」という事が最も重要な購買理由にはなり得ません。

でも、我々がご提供しているスポンサーシップというサービスは、無形商材ですので、先ほどから申しているようにお客様にイメージいただくことも大切ですが、その前に人として『この担当者おもしろいな』『この担当者だったら信用できそう』と思っていただけることが購買理由につながることもあります。自分自身の力が成果を左右することも我々の商売のやりがいの一つだと考えています。そういう出会いがあるって、ものすごくおもしろいですよね!

平地 やっていることも素晴らしいし、商材もおもしろいからそれをいかにこねてこねて企業さんの課題解決にぶつけるか。それをやったときに本当に喜んでもらえる。1つ目の事例の採用の話もそうですけど、結果を出せる仕事ってすごく魅力的だなと思いましたね。

大石 スポンサーセールスの仕事は今思えばとても楽しかったですね。しかしながら、営業して5年くらい経ちますが最初の1年って成果がなかなか出ず難しいなと思っていました。でも1つ成果が出て、その成果に再現性を見つけると、どんどん成果が出ていくことも経験をしました。

平地 なるほど。そんな楽しい仕事だなって感じさせてもらって、やりがいがあるのだな、というところも感じさせてもらいました。大石さんの今日のお話の中でも『企業のお役に立ててますか?』みたいな話と、マリーンズさん全体でも課題解決が非常に重要だ、ということで取り組まれている。

大石さんが今後実現させたいこと

平地 そんな中で、今後マリーンズさんのスポンサーシップというものがどうなっていくのか。大石さんがどうしていきたいのか。そこを最後にお伺いして締められたらと思います。

大石 スポンサーさまに対しては提供させていただいている権利をより有効にご活用していただいて、ビジネスに結び付けられたらいいなと考えています。

スポンサーメリットは様々ありますので、ニーズを汲み取りきちんと伝え、より長く、より太くお付き合いいただけるように取り組んでいきたいと考えています。

先ほど「この人から買いたい」と思っていただけることが重要というお話をさせていただきましたが、最初の入りはそうだったとしても、長くお付き合いいただくには球団としてそのお客様に対して、面でどのように向き合うかが重要だと思っています。どうしても個々の営業マンの力に頼る部分はあるのですが、組織としてお客様に対応できるようにしていきたいと考えています。

既存スポンサー様には満足度を高め、よりこちらを向いていただけるようにコミュニケーションを取っていきたいと思いますし、ご満足していただいているお客様から新規のスポンサー候補先をご紹介いただけるような、正の回転ができることが我々にとっても素晴らしいことだと思っていますので、努力を重ねていきたいと思います。

平地 今のお話の中で、企業側がもっともっと積極的にライツの活用をしていくっていうのは、僕も大賛成です。なかなか企業さんもスポンサーシップをやったことがない、活用したことがないっていうところがまだたくさんあると思うんですよね。そういう人たちにより身近に感じてもらえるもの、『マリーンズさんのスポンサーはこういうものなんだ』というようなものを知ってもらうためにはどんなことが必要だと考えますか?

大石 それがまさに4月に新設した営業企画部の仕事だと思っています。スポンサー権益をどのように企業様が活用しているかって、紹介しているケースがそんなに多くありません。JリーグさんやBリーグさん等は積極的にご紹介していると思いますが、当社はまだ課題があります。

お客様の活用事例やスポンサーシップを締結している業種・業態等ご紹介できるものはきちんと発信し『それならうちにもできそうだな』と思っていただけるように準備をしていきたいと考えています。積極的に発信していくこと、それを続けていくことっていうのが我々にとってて重要なことだと思っています。

平地 そこをまさにこれから大石さんたちがやっていくと。

大石 営業活動していても『プロ野球チームです』ってお話すると、『スポーツチームのスポンサーって高いんでしょ?』とか『看板はうちはやらないよ』っていう方が多く、スポーツのスポンサーシップがビジネス上有効だという事をご存じない方が多いのが実情です。

いつも、『我々が提供しているのは看板じゃない。結果的に看板だったとしても、看板を販売しているわけではない。我々はスポンサーシップという権利を販売しています。有効に活用することでビジネスのお役に立てるんです。』とお話をさせていただいています。まだまだスポーツチーム=看板というイメージの方が多いので、我々の啓蒙不足だなと思い、継続的に発信していきたいなと思います。

平地 これは引き続き、色んな事例を出していく必要があると思います。「看板だけじゃない」という活用の仕方をもっと世の中に伝えていくことが必要だと思いますね。

もちろん野球という国内においてのビッグコンテンツがそういった発信をしていけると、他のスポーツにも波及していくのかなと思うので、僕らも注視していきたいなと思います。

大石 我々はスポーツチームの事業側に所属していますので、球団のスポンサーシップ売上を増やしていくことを考えていますけど、球団経営はチーム力を磨き、チームを強くすることが最重要です。

チームが強くなると千葉ロッテマリーンズという球団がより魅力的となり、よりスポンサーさまが増えたり、ファンの方が増え、来場される方が増えます。来場者が増えれば、チケット代やグッズ代、飲食代も増えます。球団の売上が増え、さらにチームが強化され、強くなり続けるっていう正の循環が回ります。正の循環が回れば球団が掲げているビジョン常勝軍団になることが出来ます。我々はその一翼を担っている重要な役割だと思って日々仕事をしています。

平地 スポンサーセールスって本当にスポーツチームにとってめちゃくちゃ重要ですからね。それがないとチームの強化もできないですし、ファンマーケティングの原資にも当てられないし、そこを担っている球団の運営・経営の根幹だなと思いますね。

インタビューとしては以上で。たくさんお話を伺えました。ありがとうございました。

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インタビュアー紹介(平地大樹)


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