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【前編】千葉ロッテマリーンズの大石さんに聞く、マリーンズのスポンサーシップについて

スポーツビジネスをより身近に感じていただくために、プラスクラス・スポーツ・インキュベーション(以下PSI)代表の平地が各界のキーマンにインタビューをさせていただく本企画。

第5回となる今回は、千葉ロッテマリーンズの大石賢央(かつひさ)さんにお話しいただき、2022年4月に新設した営業企画部の紹介や具体的なスポンサーシップセールスの事例について大いに語っていただきました。

前編では、大石さんの自己紹介や営業企画部の紹介、千葉ロッテマリーンズにおけるスポンサーシップについてや、具体的な事例についてお話しいただきます。

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はじめに(大石さんの自己紹介)

PSI 平地大樹 (以下、平地) まず読者の方々に、大石さんがどういう人なのかご紹介いただきながら話していきたいなと思います。大石さんの役割やマリーンズさんとの関わり方、仕事の内容を聞かせてもらえますか?

千葉ロッテマリーンズ 大石賢央 氏(以下、大石) 改めて大石と申します。よろしくお願いいたします。

2017年8月に千葉ロッテマリーンズに入社しまして、2022年3月まで法人営業部でスポンサーセールスの仕事をしていました。既存のお客様の満足度を高めてスポンサーを継続していただく仕事と、新しくスポンサーになっていただけるお客様を獲得するというお仕事をさせていただいていました。

スポンサー売上を更に向上させるべく4月から新設部署として営業企画部を立ち上げ、戦略や戦術を考え、営業担当者に武器を提供するところを担っています。

平地 ありがとうございます。つい最近そういう体制になったというところもあり、僕も様々な事例を見たり、様々な企業さんとお付き合いさせてもらう中で、基本的には営業をして、受注してきた方がそのお客様の対応をしていると思います。その方々がチケットもそうですし、ライツがちゃんと実行されているのかっていうのもそうですし、案件全部の運用をしている。かつ、一人が何十社もその対応をする、という状態が、この業界の中ではよくあることかなと思います。

それと一線を画すというか、セールスはセールス、プランニングはプランニング、運用は別チームで、みたいなところの、対応する部署を分けてきたというのは、どういった背景があるんですか?

大石 我々の営業は、新規でスポンサーシップ契約を締結するとそのお客様の対応を最初から最後まで契約をいただいた営業担当者が全て対応する形でやってきました。そうなると、契約をいただいた営業担当者に負荷がかかってしまい、次の新しいお客様の獲得に向けたアプローチに時間が割けなかったり、既存のお客様へのコミュニケーションが不足し、満足度が下がってしまったり、営業担当者の能力や個人的な力に左右されてしまうところが大きかったんです。

これを組織としてお客様に対応していくのが最初の狙いでした。組織としてアプローチを行うことで、お客様の満足度をより高めるということ、営業担当者により営業活動に特化していただくことに注力をしたくて、営業企画部を新設致しました。

営業担当者にはこれまで新しいお客様にアプローチをする際は、担当者自身でアプローチ先を考え、どのようにアプロ-チを行うかというところまで自分で考えてもらっていました。しかしながら、新規のお客様へ掛ける時間が多くなれば、結果的に既存スポンサー様に対してアプローチやコミュニケーションを取る時間が短くなってしまいます。営業担当者の営業活動に使える時間を確保するために、営業企画部がリストの作成や、新規のお客様との面談をセットするところまで担う事、これまで営業担当者が行っていたことを営業企画部で対応するようにしています。

将来的には、お客様が当社と契約をしてくださった後のアクティベーションや納品対応もできる限りサポートしてあげて、人が変わってもお客様の満足度は下げないように、スピーディーに対応できるような体制をつくっていければなと思っています。

平地 なるほど、ありがとうございます。正直セールスの人というのは、セールスの人っていう特性がある。数字を積みにいくとか、案件を獲得しにいく、人と会いに行くみたいなところに特性がある中で、その先のいわゆるすごく細かい、どちらかというときめ細やかな運用の部分で言えば、違った特性の人に対応が求められていくと思います。その特性が一人でやり切れるのか?という話がやっぱりありますよね。

国内のスポーツにおいては、なかなかまだ人が足りないという現状があるため、やらざるを得ないところはあると思うんですけど、野球くらいの規模になってくると、組織力みたいなところも含めて、そこはやっぱり分けて組織的に取り組みたいですよね。なので今回の組織再編は本当に価値あることだなと思っています。これからこの動きがどうなっていくのか非常に楽しみなので、1年後とかに『実際どうですか?』というのもお伺いできればなと思っています。

千葉ロッテマリーンズのスポンサーシップセールスとは

平地 そんな中、この「あたり先への対応」と「きめ細やかな対応」、という2つ組み合わせてスポンサーさんを獲得していく、スポンサーさんの満足度を上げていくという部署で大石さんは働かれているわけですけど、マリーンズさんはスポンサーさんに対してどういうものを提供しようと日々取り組まれているのか、スポンサーさんに対するマリーンズさんの考え方、みたいなところも事例のご紹介に行く前に前提でお伺いしたいです。

大石 我々千葉ロッテマリーンズの営業は、お客様の抱えている課題をスポーツ(野球)を通じて解決するため、お客様のお役に立つために日々行動しています。

まずはスポーツチームを活用して、お客様のブランディングと信用度を高めていただくことやお客様の売上に貢献すること。チームを活用することによって、ファンの方にも知っていただき、良ければ購入いただいて、売上増加に貢献する。

千葉ロッテマリーンズは千葉県にあるチームですので、地域貢献や社会貢献活動にも力を入れています。お客様と一緒に実施をすることで、地域貢献、地域還元にお手伝いができると考えています。

次にホスピタリティということで、お客様の先のお客様に喜んでいただき、ご満足を提供し、より取引を深めていただけるようなホスピタリティスペースをご提供しています。

他には採用活動や従業員の士気向上にもお役に立つことが出来ます。

それぞれの課題を解決できる会社さん、例えば、採用だったら人材の会社さんとか、色々あると思うんですけど、我々はその全てがワンストップでお手伝いできるというのはすごく強みだと思っています。理想は千葉ロッテマリーンズに相談していただければ、当社では解決できないが、既存スポンサー様であれば解決できるといった事等、どのようなお困りごとも解決できる、ハブのような存在になることです。

平地 いや、面白いですね。野球という球団の周りには、いわゆる企業同士のつながりだけじゃなくて、それこそ行政もいますよね。かつ、やっぱりファンベースが野球はそもそも多いっていうところもありますし、何か販促で使いたいと考えた時に、試合数も多いみたいなところは、野球が持っているアセットなんだろうなと思っています。

それを最大限活用して、課題解決をどうするかということをやっていく。それを考えるところを大石さんたちが今後担っていくということになりますよね。

大石 ファンベースという話が出ましたのでご紹介しますと、千葉ロッテマリーンズのTwitter公式アカウントには約85万フォロワーいらっしゃいますので、そういった方々に対してPRすることで自社の認知や商品認知につながりますし、プロ野球は年間143試合あって、そのうちの半分がホームゲームです。つまり約70試合自分たちの球場で試合ができるという強みがあります。

各試合に来場いただいたファンの皆様延べ約166万人(2019年の来場者数)に自社の商品・サービスの訴求が出来ることはそれなりに大きなパイだと思っています。

平地 そうですよね。

大石 それを有効活用していただくべく、さまざまなご提案内容を考えて営業マンに授け、お客様にご提案いただくというのが我々の役割ですね。

平地 今話が出たところでぜひお伺いしたいなと思ったのが、会場がある、それでここに166万人の方々が来ている、これもものすごく価値だなっていうのは間違いないと思っています。かつ、先ほどTwitterのフォロワーの話もしていただいてましたけど、もちろんTwitter以外のSNSのプラットフォームも活用されていて、放映の方もデジタルが中心で放映されているので、デジタル側のメディア力もやっぱりめちゃくちゃ大きくなってきていますよね。

今後のことを考えていくと、もちろんスタジアムもすごく重要なんですけど、そうは言っても人数で言えばもちろんキャパシティがある。デジタル側は言えばお客様は無限なので、まだまだいけるなっていうイメージがありますが、そこに対しての期待度はありますか?

大石 その通りだと思います。Twitterが今85万フォロワーというお話をさせていただきましたけど、公式インスタグラムも約18万人のフォロワーがいらっしゃいますし、公式YouTubeチャンネルの登録者数も14万人ほどいますし、そのまま足すと100万人以上のファンの方が見てくださっているというのはものすごくパイが大きいと思います。

しかしながら、マリーンズのことにもともと興味があった方や好きだった方というのがベースにあると思うんですよね。今後我々が新たなファンの方を獲得していくには、千葉ロッテマリーンズのことを知らない方や野球にそこまで興味が高くない方、他のスポーツに興味がある方、そういった領域に踏み込んでいくとよりファンの方が増えていくのではないかと思っているので、まだまだこれからだと思っています。

ただし、これは我々営業の力だけではなくて、マーケティング部門や広報と一緒になって考えて進んでいかないと難しいと思っていますが、大きなポテンシャルを秘めていると思います。

平地 そうですよね。今後そういう話も聞いていければいいなと思ってます。ありがとうございます。今、スポンサーさんの軸をお伺いさせてもらったので、ここからそれぞれで課題解決をしてきた、という色々な事例をお伺いしていきたいなと思っています。

スポンサーシップ事例①採用課題の解決

平地 尺もあるので2~3くらいの事例をいただきながら、それぞれ深掘りさせてもらいたいんですけど、早速大石さんがレコメンドできる『この事例聞いてよ!』をお伺いできればと思います。

大石 1つ私がすごく心に残っているスポンサーさんのお話をさせていただければと思うのですが、当時から業績は好調で、B to B向け事業を展開されている会社さんだったんですね。業績が好調なので採用活動にも力を入れており、特に高校生を中心に採用している会社さんだったんです。

会社の認知度がそこまで高くなく、採用に苦戦しているという話を課題としていただきました。そのお客様に対してスポンサーシップ契約のご提案をさせていただきました。

当時ご提案をさせていただいたのが、エリアネーミングライツでした。該当エリアの呼び名に企業名を付けさせていただき、そのエリアに広告を掲出、当該エリアのシーズンシートも併せて提案を行い、スポンサーシップ契約を締結させていただきました。

スポンサーシップを契約した翌年から採用活動が非常に好調に推移し、初めて募集定員を上回る応募があって、うまくいっていると教えていただきものすごく嬉しかった記憶があります。

平地 いわゆるエリアスポンサーというのは、球場の中をエリアで区切って『ここからここまではその会社さんのエリアだよ』ということで使えるようになる。そうすると、そこのエリアには席がついていること以外に他にはどんなことが含まれるんですか?

大石 当該エリアには広告看板を掲出していますがエリアネーミングライツの最も良いところは、球場のエリア案内図やシーズンシートの冊子等、至る所にエリア名が正式名称で掲出されるところです。ファンの皆様や来場者の方にお名前を刷り込むことが可能になります。

あと、当該エリアをシーズンシートとしてお持ちいただいているのですが、当該エリアは法人限定のエリアで一般には売りだしていない箇所でしたので、自社で利用するよりも、お取引先様のご招待を中心にご利用されていました。シートも全試合利用しているとお言葉を頂戴していたので、大変うれしかったです。

あとは、エリアネーミングライツ契約自体が信用や認知度の向上につながっていると思います。

高校生の採用は大学生と違って、先生や親御さんの推薦があってはじめて受けられますし、今でも1社しか受けられないという特殊事情が存在します。親御さんの信頼や先生の信頼を獲得するツールとして、我々とのスポンサーシップ契約を締結したことがものすごく大きかったと言っていただきましたね。

平地 そこにめちゃくちゃ肝があるなと思いました。高校生の就職活動において、1社しか受けられないっていうのがすごく難しいところですよね。スポーツのスポンサーをしているという、この信頼感が効いてくる、ってことですよね。これがやっぱり特に国内においてプロ野球は相当なパワーがあるんだろうなと感じています。

僕の友人も経営者で、スポーツにスポンサーをしている中で、銀行から融資を受けようとしたときに『あのチームのスポンサーしているんですね。それは収益も…』というような話がやっぱりあったということで、信頼度ってすごく高いんだろうなと思いました。それを親御さんや学校の先生の方々に見てもらうっていうのは、直接的な効果ではないにしろ、すごく良い副次的な効果を望めるような事例でしたね。

大石 きちんとスポンサーさん側も活用いただいているということが大きいと思っています。千葉ロッテマリーンズのスポンサーシップ権益には、名刺に球団のロゴマークを付けることができたり、千葉ロッテマリーンズを応援していますというメッセージ(呼称権利)があったり、選手の団体肖像の活用権利等がありますので、有効に活用していただけたんですよね。

採用の話でいうと、例えば高校の先生にご挨拶に行く時に名刺にマリーンズのロゴの掲出があったら最初の会話のネタにもなりますし、採用のパンフレットなどにもそういったものを載せてもらえれば、『なるほど』となりますよね。例えば、千葉ロッテマリーンズの試合がテレビニュース等に流れたときに『出ていたね』っていうような会話になりますので、使っていただくことは非常に重要だなと感じていますね。

平地 もちろんIP側と言われる球団側が何を提供できるかというのも非常に重要ですけど、権利、ライツを企業側がしゃぶり尽くせるかというのがめちゃくちゃ重要だなと思っています。実地でそれをやられて、それが採用につながったっていうところですかね。素晴らしい。1つ目に素晴らしい事例をお話いただきました。

大石 あと、何年か継続することが大事で。最近そのスポンサー様を訪問したときに『看板を見た千葉ロッテマリーンズのファンが面接を受けに来られて、採用につながった』というお話を伺いすごく嬉しかったです。

平地 素晴らしい。

大石 我々のご提案が、企業のビジネス活動に貢献できていると実際に肌で感じると、感慨深いというか嬉しいというか、やりがいにつながりますよね。

平地 しかもそれを次のネタにできちゃいますしね。

スポンサーシップ事例②京成電鉄様との160km/hプロジェクト

平地 では、続いてまた別の事例をお伺いしたいと思います。

大石 直近の事例ですが、千葉ロッテマリーンズには完全試合を達成した佐々木朗希選手がいます。日本のみなさんにはある程度知っていただいているかと思います。

平地 そうですね、ニュースでたくさん報じられましたしね。

大石 野球にあまり詳しくない人が彼の名前を知っているっていうのはすごいなと思っていて、彼は完全試合を達成しましたけど、元々急速がものすごく速くて、160キロの球をコンスタントに投げるのです。昔は160キロ出た時点ですごかったのですが、佐々木朗希投手の場合は160キロのスピードが出るのが当たり前みたいな、感覚が変わってくるという、まさにイノベーションを起こした選手だと思います。

地元の鉄道会社である京成電鉄様には在来線最速で160キロを出す京成スカイライナーという電車があります。160キロのコラボをしましょうという話になり、5月23日(月)に160キロプロジェクトのリリースを発表させていただきました。

160キロプロジェクトは、彼がZOZOマリンスタジアムで投げた登板日に160キロ以上投げた球数分だけ京成グループ全体で使える商品券16,000円分をプレゼントするというアクティベーションです。例えば佐々木朗希投手が登板日に160キロ以上のボールを30球投げたら30名の方に16,000円の商品券が当たります。

平地 すごいじゃないですかそれ。

大石 コロナ禍の2年間、行動制限等の影響で我々も苦しい思いをしてきましたが、鉄道会社様も大変苦しい思いをされてきました。京成電鉄様と千葉ロッテマリーンズが共に手を取り、地元千葉県に還元が出来るようなイベントを実施できればという思いから、今回このようなアクティベーション施策を実施させていただくことになりました。

もともと毎年京成グループ花火ナイターというかたちで地元の方たちに還元するようなイベントをやってくださっていましたが、コロナ禍を乗り越え千葉県民のみなさんに元気や勇気を与える一環として今回こういうアクティベーション施策が生まれたと思っています。

平地 1つのプロジェクトとして『ポイントは選手の活用』というところかなと思います。、マリーンズさんのスポンサーとしての取り組みの中でまた1つ目と違う様相のおもしろいアクティベーションですね。

大石 160キロつながりということで、県内に本社を構える京成電鉄様と一緒になって取り組みができたというのは、私がマリーンズで働かせていただいている中で、最もインパクトの大きいアクティベーション施策の一つとなりました。

平地 実際そのアクティベーション自体が始まるのは?

大石 5月27日(金)に登板があったのでそこで初めてやらせていただきました。

平地 ちなみにそのときは何球?

大石 30球160キロ投げました。

平地 16,000円の商品券が30名の方に。すごいですね。実際にそれをどれくらいの人が使ったか?みたいな話は聞けていないですか?

大石 これからかなというところもありますね。みなさんに知っていただいて、このイベント自体を楽しんでいただきたいですね。彼が登板するときには、是非多くの方にご来場いただき、お楽しみをご提供できればと考えています。

平地 本当によくある、いわゆる『ホームランを打ってこの看板に当たったら』みたいなキャンペーンも球場の取り組みだとあると思うんですけど、それの投手版ですね。

でも投手版って珍しくないですか?今までは三振の数とかはあったんですかね?

大石 三振の数で何かが当たるというのは、実は去年よりデジタル施策でやらせていただいております。ホームランを打つと、という話もありましたのでお話をさせていただくとコロナ禍になった2020年プロ野球は3カ月開幕が遅れ、開幕当初は無観客試合で始まったんですよ。無観客試合のときに同じグループ会社のロッテと一緒に、ホームランターゲットのアクティベーション施策を実施しました。ロッテ商品のアイスは色んな種類があるので外野席にいくつかアイスの看板を設置し、マリーンズの選手がホームランを打った時にどのアイスの看板にヒットするかというアクティベーションをSNS上で展開しました。

マリーンズの選手がそこにホームランを打つと、選手も同じアイスを3カ月分アイスをもらえ、かつ予想した方の中から抽選で1名様にも同じアイスを3か月分プレゼントするという内容です。無観客試合だからこそ無観客の球場を逆手に取って実施させていただきました。

平地 今回の160キロもそうですけど、マリーンズさんってネタがおもしろいなと思うことが結構あるんですけど、そのネタってどこから出てくるものなんですか?

大石 みんなで考えていますね。ひねり出して。あと、僕らが1番意識しているのは、プロ野球12球団で1番最初のことをやろうっていうことです。

平地 なるほど。ちなみに、さっきの佐々木選手との取り組みの話で言うと、実際企業さん側から話があったのか、それともマリーンズさん側から営業をかけていったのか、どんな経緯があったのですか?

大石 今は別の営業担当者が京成電鉄様を担当しておりますが、佐々木朗希投手が入団した時点では私が担当をさせていただいておりました。入団当時から『佐々木朗希投手は160キロ投げるんです。御社の電車も160キロで走りますよね。一緒にやれば絶対に盛り上がると思うのですが』っていうのをずっとお伝えしておりました。

平地 なるほど、仕込み続けていたのですね。

大石 佐々木朗希投手が3年目を迎えた2022年シーズン、2月の春季キャンプからオープン戦に掛けて非常に注目度が高くなり、プロ野球解説者の方も注目選手に上げてくださることが多くなりました。京成電鉄様にも佐々木朗希投手の魅力に気づいていただき、満を持してついに実現したという感じです。私にとっては3年越しの思いがついに伝わったと感じました。

平地 素晴らしい。とてもいい話じゃないですか。

大石 めちゃくちゃ片思いしていてやっと付き合えたみたいな。(笑)

平地 スポンサーセールスは正直そういうところあるじゃないですか。そんな簡単な話じゃないぞ、そんな簡単に発注もらえないぞ、という積年の中で、早い段階から佐々木選手のことでしっかり提案していたのもそうだと思いますし、彼の実力が上がってきたところと相まってのプロジェクトだったということで、素晴らしい。

とてもいい話じゃないですか。スポンサーセールス冥利に尽きる話ですね。

大石 うれしかったですね。

平地 今後彼が登板するたびにこのプロジェクトは続いていくのですか?

大石 という風にやっていけたらいいなと思っています。今シーズンは佐々木朗希投手がZOZOマリンスタジアムで登板する試合では全試合イベントをやります。個人的な思いとすると佐々木朗希投手にはZOZOマリンスタジアムで登板してほしいなという気持ちですね。

平地 ファンの人には、『佐々木選手が登板するぞ。これは16,000円の可能性あるぞ』みたいな、野球ともまた違う楽しみ方も球場にあって然るべきですもんね。

大石 球場に来る目的が野球以外にあってもいいと思うんですよね。とにかく球場に来てもらうことが我々事業側にとって大切だと思っていて、まずは1回球場に来ていただいて楽しんでいただき、2回目以降のご来場で野球を好きになっていただいたり、佐々木朗希投手を好きになっていただいたり、他のマリーンズの選手に興味を持っていただくでもいいと思っているんですよね。

佐々木朗希投手の話を出しましたが、マリーンズには他にも魅力的な選手がたくさんいますので、ぜひそういった選手を見て好きになってもらえたらいいですね。

個人のお客様もそうですけど、スポンサーさまも同じです。スポンサーさまになってくださったからこそ、実際に球場に来ていただいて、自分たちの会社の看板が出ているのを見ていただいて、マリーンズに興味を持っていただき、好きになっていただければと考えています。そして中長期的なお付き合いになるのが理想的だなと思っております。

平地 なるほど、おもしろい。いい話だな。3年越しの想い、いいですね。

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後編へ続く

今回は前編ということで、以下について書かせていただきました。
・はじめに(大石さんの自己紹介)
・千葉ロッテマリーンズのスポンサーシップセールスとは
・スポンサーシップ事例①採用課題の解決
・スポンサーシップ事例②京成電鉄様との160km/hプロジェクト

後編は最後のスポンサーシップ事例と大石さんが考えるスポンサーシップセールス、今後実現させたいことについて紹介します。

インタビュアー紹介(平地大樹)


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