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日本初!!スポーツスポンサーシップの賞『Japan Sports Activation Awards 2022』の最優秀賞はこうして決まった

「Japan Sports Activation Awards」とは、スポーツのスポンサー活用において、日本国内での素晴らしい結果や功績、驚きを与えたアクティベーション事例を表彰する国内初の広告賞です。

第1回となる2022年度は60件以上の応募をいただきました。すべての応募に対して審査員の皆さまに得点をつけていただき、審査会にて受賞企業・クラブを決定しました。

その審査会の様子を【前編】【後編】に分けて、本noteにて公開します。受賞事例への評価をはじめ、今後スポーツ産業が発展していくためにこのアワードがどうあるべきか、非常に内容の濃いディスカッションとなっております。

※審査員情報やアクティベーション事例は、2022年時点でのものになります。





事前の審査得点で評価の高かった上位5つの事例

「社会的インパクト」「効果」「独自性」の3つの視点より、それぞれ審査員の皆さまに5段階で点数をつけていただきました。※全文にわたり敬称略。

<上位5事例>

サンフレッチェ広島×上万糧食製粉所

アビスパ福岡×株式会社マネーフォワード

アビスパ福岡×地元企業

ガンバ大阪×OpenStreet株式会社

北海道コンサドーレ札幌×株式会社マネーフォワード

業界を代表する審査員の方々が感じたスポーツ業界の課題とアワードの意義

平地:まずはたくさんの事例への得点付けにご協力いただき、ありがとうございました。この集計結果を受けて、コメントをいただけますか。

平地大樹氏
プラスクラス・スポーツ・インキュベーション(株)代表取締役。元バスケ選手。渡米しプロを目指すも挫折→人材、WEB業界を経て2011年にWEB会社プラスクラス、2016年にスポーツマーケティング会社プラスクラススポーツインキュベーションを創業。現在110のクラブをご支援中。ミッションは『日本のスポーツ全会場を満員にする』

上野氏:やっぱり地域に社会課題があって、それと地元のスポーツチームの掛け算でっていうのがあると面白くなるというか。なんのためにやるの?っていうWhyのところですよね。そう考えるとガンバ大阪のシェアリングの話はすごくいいと思っています。こんな課題があるから解決するんです、というストーリーがしっかりしているのを高評価にしました。

上野直彦氏
漫画原作のかたわら、ブロックチェーン技術が大好きで、日本ブロックチェーン協会(JBA)事務局長や経産省Web3.0クリエイターエコノミー研究会委員を務めてます。トークンやベッティングなど次世代の「スポーツ×Web3」の実現を目指してます!

西脇氏:アビスパ福岡の事例はみなさん高評価だったと思います。クラブがDXを推進していくことで地域の活性化になる、というのはやっぱりあると思います。インパクトという項目でいくと、どれくらいやったことが広がっていくのかっていうところを僕の中でポイントとして高くしていますね。

あと、スポンサーシップのアクティベーションってスポンサーがやるということが大事なので、やっぱり企業が権利を活用して、色んな人を巻き込んで、選手も巻き込んで、立体的・複合的にやっていくとスポンサーシップのアクティベーションとして完成度が高いのかなと思います。そこに、ナラティブ(ストーリー)みたいなことを付け加えると、より人にも伝わっていきますよね。

西脇智洋氏
スポンサーシップビジネスの専門。大塚商会での営業経験と英国でのスポンサーシップ・マネジメントの学びのもと、JFAにてサッカー日本代表の権利ビジネスを担当。その後、海外企業でのスポンサーシップ評価やライツ選定などの経験を経て、CFGへ転職。グローバル規模でのマンチェスター・シティや横浜F・マリノスの大型パートナーシップ案件を数多く手掛けた。(※2022年の審査当時のもの)

道上氏:集計結果でもトップにきていたものを僕も高評価にしていたものが多いです。全体的に良かったものは、1回やって終わりではなくて持続性があったり、当日の盛り上がりをどうやって事前に作っていくかだったり、ティザーの施策とかも含めてやられていた印象です。

評価が低くなってしまったものって、どう振り返ったのか?とか、実際の成果はどうだったのか?と感じるところが多かったので、振り返りまで含めてちゃんとPDCAを回していくんだっていう意識がある企業は、やっぱり評価が高くなったなという感じですね。

道上飛翔氏
1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業を担当。アドテクノロジーへの知的好奇心からMarkeZineを読んでいたことをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副編集長に就任。マーケティングイベント「MarkeZine Day」のオーガナイザーも務める。

坂本氏:私も上位の事例は審査員の皆さんとおなじく高評価でして、サンフレッチェ広島とガンバ大阪については面白い取り組みだと思いました。サンフレッチェ広島の取り組みについては、アレルギーに効果のある青きな粉は地元の名産ですし、プロ選手ではなくユースにも広告価値がある、というのをYouTube配信で証明したということはスポーツ界にとっても良い事例になるのではと思い評価させていただきました。

ガンバ大阪は三方良しで、企業側にとっても宣伝になりますし、ガンバ大阪にとっても試合を見に行くうえで顧客満足度向上に繋がるし、市など行政にとっても交通渋滞緩和に繋がります。また、今注目を浴びている脱炭素やSDGsにも貢献するので、社会への貢献も大きく、独自性もあるのではというところでも評価しました。

坂本弘美氏
NTTコミュニケーションズ(株)にシステムエンジニアとして就職。その後、2016年3月に経済産業省に入省、製造産業局にて製造業のIoT推進政策に携わる。2018年10月から同省 商務・サービスグループにて、主に中小・小規模事業者や自治体へのキャッシュレス推進政策に携わる。2020年7月より現職、スポーツの成長産業化に取り組む。(※2022年の審査当時のもの)

福田氏:僕も上位に入っているところは違和感がないです。特にサンフレッチェ広島はグルテンフリーとかアレルギーの問題とか、うちの子どもがアレルギーを持っているからすごく良いものを作ってくれたなと感じましたね。みなさんも仰っていたように100万弱の再生回数があるものの中にちゃんと取り上げられて、その後の企業の営業活動にも活用できているという記述があったので、そこを高く評価しました。

福田拓哉氏
Jクラブ、プロ野球団勤務を経験した日本唯一の博士(経営学)。15年間に渡るスポーツビジネス研究の中で数多くの産学連携、課題解決型プロジェクトを手掛ける。2022年7月から熊本ヴォルターズ代表取締役として現場復帰。「試合会場を満員にする研究と実践」がテーマ。北海道小樽市出身。

菅原氏:自分で審査をするときにも考えたのと、皆さんの意見を聞きながら、取り組みが三方良しじゃないとやっぱりダメなんだなと。社会に良くて、クラブに良くて、スポンサーにとって良い、っていうのを両立している企画がおそらく良いんでしょうね。理想はそれです。

ただ現実において、マーケティングって投資対効果で見るものなので、見る限り費用対効果が合うようなものが果たしてどの程度あったのか、エントリーの文章から読み取れないものも多くありました。継続性の観点から言うと、儲かるからやりましょうとか、企業がお金を払うのに見合うものを作っていかないと続かないんだろうなと。スポーツスポンサーシップのビジネスも続かないだろうし、こういうアワードも続かなくなるだろうと思うところがありました。

それらをまとめていくと、このアワードが役に立てそうなことは、うまくいったものをきちんと業界の中に広めて、他のチームが真似できるようにする。スポーツのスポンサーをやって良かったものにしていくという活動に貢献できるんじゃないかなと思いました。

例えばマネーフォワード、横浜Fマリノスとの取り組みはおもしろかったです。YouTubeの中にコンテンツ作成が上手にできて、選手を起用することでサービスの理解を増やせたということで、数字を見る限りこれは費用対効果が出ていそうだなと思ったんですよね。

マネーフォワードはチームのキャラクターである選手を使うことでマネーフォワードを知らない人でも選手を通じて知ることができるし、これが拡散されることで横浜Fマリノス自体も伝わっていくという意味ではお互いに良い効果を得たんじゃないかな。企業がお金を払えば払うほどクラブや選手の認知にもつながっていく。おもしろい取り組みでした。

菅原健一氏
専門は経営とマーケティング。課題発見と課題解決の戦略構築。大手企業の経営アドバイスからスタートアップへのエンジェル投資まで行い数々の事業のムーンショット(大胆な挑戦からの非連続な成長)に伴走。 IT企業に限らずラグジュアリー/コスメ/D2C/音楽/アート企業などもクライアント。 コマーステクノロジー企業のAppifyではクライアントの売上向上、リピーター向上の支援。

判断基準で重要なのは、アクティベーションの効果を定量化すること

平地氏:皆さん、コメントありがとうございます。総括いただきましたので、全体の最優秀賞と審査員特別賞を決めていきたいです。最優秀賞はみなさんの得点が高かったトップ5の中から選べればと思います。先ほどからお話ししていた三方良しの視点で選ぶのか、それとも効果の部分で選ぶのか。

菅原氏:広島のYouTubeの再生回数が92万回再生ですかね?その他の事例は、効果として明確なものはあまりないですかね。

道上氏:広島の場合、広島に本社を置く企業とのスポンサーシップでこれだけ成果が出ているのが素晴らしいですよね。色々な地方にパートナーをするというのはそれはそれですごいことなんですけど、地元の一般企業がこういうことをやってうまくいっているっていうのは、なかなか珍しいことですよね。

平地氏:ほんと素晴らしいです。しかも、あまり知られていない取り組みが最優秀賞になるのは僕はめっちゃうれしいです。そういった取り組みをちゃんとみなさんにお伝えできるってすごく価値があるなと。

西脇氏:ユースという資産が価値を持つと証明できたっていうのがすごいと思いました。人々が見たいというか、トップ選手だけじゃなくてユース選手のライフスタイルや日々何を考えてトレーニングしてるか、とかそういうところも含めてたぶんインタレストがあったんだろうなって。僕も全然知らなかったから。

福田氏:僕もそれ考えたんですよね。ユースの選手っていうのは成長期だし、そこでちゃんと食育をしていますっていう動画の作りになっていて。そこに地元の企業さんのきな粉とかパン粉がうまく入っていて。

西脇氏:給食係のおばちゃんのコメントが良かったんだよね。あのおばちゃんの素のコメントが良いなと思った。

平地氏:僕は愛を感じましたね。福田さんのように「お子さんがアレルギーを持っていたから」みたいなことが背景にあって、かなり自分ゴト化してプロジェクトが進んでるのかもしれないですね。最優秀賞に関しては、上万とサンフレッチェ広島の取り組みで決定ということでいきたいと思います。みなさまありがとうございます。

【後編へ続く】

ただいま、第2回Japan Sports Activation Awardsの応募を受け付けております。11/30(木)が応募締め切りとなっておりますので、是非ご応募ください。


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