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【後編】マンチェスター・シティの西脇さんと話す、スポンサーシップセールスについて

マンチェスター・シティFC率いるシティ・フットボール・グループ(以下、CFG)日本法人でパートナーシップ部門セールスマネージャーを務める西脇智洋氏と、プラスクラス・スポーツ・インキュベーション(以下PSI)代表の平地がスポンサーシップセールスについてお話しさせていただきました。

前編では
・はじめに(西脇さんの自己紹介)
・スポンサーセールスで大事にしていること
・課題解決型スポンサーシップと企業満足度
・施策の改善サイクルと効果測定
についてまとめています。まだ読んでない!という方はこちらからご覧ください。

この後編では、よりスポンサーシップに重きをおいた内容となっています。今回もそこそこの文章量になってますが(苦笑)、最後までお付き合いください。

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スポンサーシップマネジメント

平地 では逆に、西脇さん的にもこれはめちゃめちゃ投資対効果というか満足度が高かったな!みたいな具体的な話や事例とかって共有できる内容ありますか。

西脇 そうですね、マリノスさんの仕事もお手伝いさせていただいている中でトップパートナーになっていただいた企業さんですかね。

僕が企業側によくお伝えしているのは権利を使い倒してください!と。これに尽きますかね。

契約をしていただいてるので、付与されてる権利はしっかり使い倒す。その中で、契約条件をもっと改善したいというニーズが出てくれば、企業側はライツホルダー側へしっかり交渉していく。こうしたプロセスは重要ですね。

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平地 ホントそうですね。使い倒すためにも、スポンサー企業さん側ももっとスポーツを使ってこういうことができたらいいのにな、とかそもそもどういうことができるんだっけ?みたいな話をより考えていただいたりとか、それこそ僕らのような企業を壁打ち相手にしてもらって全然構わないので、そういうディスカッションをさせてもらうだったりとか、そういう機会が企業さん側ともっとあってもいいのだろうな、と結構思いますね。もったいないな、ということが結構あったりするから。

西脇 付与している権利がどう活用されたのか、活用されていないのか、をちゃんとチェックリストにしないといけないですし、それをお客さんに出したうえで、今こういう状況ですと示せるようにしておかなきゃいけないですね。

まだ使ってない権利があるのであれば、使ってない権利をこういう形で活用したらいかがでしょうか、という提案をこちらからすべきです。当然権利を使うのは企業側なので、そこのアイデアとかイメージがない場合はやはりライツホルダー側も積極的にそこを提案してあげるというのは重要ですよね。

平地 それはひいては満足度に繋がりますよね。
ちゃんと全部行使したんだっけ?行使したうえで自分たちが思っていた以上に会社も盛り上がった話やPR的にもよかったね、みたいなところでたぶん満足度みたいなところもより上がるのではないかな、と思ってます。

西脇 そうなんですよね、だからさっきの誠実であるということは結構重要で。スポンサーシップのベースって権利なので、ライツホルダー側からすると権利はすでに付与しており、権利を行使するのは企業側の自由なので、権利活用の申請が来たときに承認する、承認しないという立場であっても原則的には間違ってはいいません。

けど、企業側に満足してもらうためには積極的にアクティベーションしてもらわなきゃいけないし、その関係性を太く長くしていくためにも。やはり企業にアクティベーションしてもらわないと、そもそもこのビジネスは何だっけ?という話になってしまいます。なので、特に権利を活性化させることについて、企業側と誠実に向き合っていくということがとても大事だと考えています。

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平地 いや営業の基本ですね。

西脇 その時に企業側が、アクティベーションのやり方がわからないとか、そもそもその意欲が微妙みたいな形であったとしたら、そもそもなんでその企業さんと契約したのですか?という話になります。企業側と契約する前にアクティベーションプランとか権利を活用する目的と効果みたいなところをしっかり話しておかないといけません。話をせずに不明瞭な形にしてしまうと、結果その企業さんがアクティベーションしなくて、みたいな感じになっちゃう。

平地 確かに。で、満足度が下がって翌年やらないとかそういうケースはありがちな気がしてます。

西脇 あるのだとしたら、もったいないですよね。

現在のスポンサーセールスの課題

平地 本当そうなんです。なるほどな。ホントいろいろ今聞けたお話の中で、もっとこうしていくべきだな、みたいなポイントがあったなと思っているんですけど、改めてにはなっちゃうのですが、西脇さん的に今このスポンサーセールスにある課題感や何か足りないと思っているもの、こうしたらもっと良くなるのにな、みたいなことって、西脇さんも普段活動されている中であるかなと思うのですけど何か例えばこの辺をもっとよくできるよねみたいなことはありますか。

西脇 自分自身も含めてなんですけど、やはりブランド側の方々への理解とか業界理解だとか、そういうのは当然必要だと思いますね。そこのレベルを上げていく。もちろん自分自身もレベルを上げないといけないというのはありますけど。

あとはブランド側にやはりスポーツのスポンサーシップを活用することの意義とか目的というのをちゃんと伝えて、その方々とリレーションを、要はそういう仲間を増やす、という感じですかね。

個人的な考えですけど、ブランド側にスポーツっていいよね、スポーツでビジネスすることってすごくいいよね、効果あるよねという仲間を増やさないと、やはり業界自体が大きくならないので、スポンサーシップの話をスポンサー企業の方に熱く語ってほしいですね。

別に僕の話とかどうでもよくて、ブランド側がスポーツに投資することの意義とかメリットをちゃんと全体のスポンサーシップのマネージメントをわかったうえで発信していく人が増えていく、そこがなんか僕の中でハッピーな世界観というイメージですね。どっちかと言うとセールスの課題というよりは業界の課題な感じですね。そういう仲間がどんどん増えていくとライツホルダー側もやはり意識は変わると思いますし、活用されて初めて意味があるビジネスなのでそこはすごく重要ですね。

平地 そのブランド側がどう活用してどう良かったよ、みたいな話やこれだけ効果が出ているよ、みたいな話とかはもっと発信されると良いですよね。こういった話題がいろいろなところで目に付くみたいな状態に持っていけると、それこそ他のブランド側の人たちも「そんな活用できるのか!」だとかなって、やっぱり業界的にも実になっていきますもんね。

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西脇 そうですね。業界全体のリテラシーみたいなところも含めてレベルが向上していくと、スポーツチーム側の提案の質も自ずと向上し、権利開発という観点でも柔軟になっていかないといけません。また、営業部のクライアントサービスとしての向き合う体制みたいなところにもメスを入れていかない時が来ると思います。良い意味でレベルアップしていく、お互いが緊張感あるような関係になっていくのがすごく重要かなと思います。

平地 そうすると確かにマーケットももっと大きく変わっていき、取り扱われる額も増えてくるようなイメージが湧いてきますね。

西脇 そうですね。日々の営業活動の中で企業側と話す時、契約が決まった後も企業側が積極的に関わっていただけるように我々としてはコミュニケーションしています。

アクティベーションアワード

平地 よく海外とかで企業側がスポーツを活用してこういうことをやったよみたい事例をムービーにして、それを自社のメディアに載せていたり、SNSに載せている話、なんだったらそれを広告賞とかに申し込んで受賞しに行くみたいな話とかって結構活発なのかなと思ってるんですけど、国内ってあまりそういう取り組みがないなという印象があるんですけど、西脇さん的にどうですか。

西脇 僕らの組織として非常に重要視しているのは、アクティベーションアワードにどれだけノミネートされて、どれだけアワードをとったのか、ということ。幸いヨーロッパのサッカーチームの中では、マンチェスターシティがアワードの獲得が一番多いというデータになっています。

アクティベーションが行われることを非常に重要視しているので、企業側のアクティベーションがどんどん実行されるような体制、パートナーシップセールスチームとパートナーシップマーケティングチームがいます。そのパートナーシップマーケティング担当は、もともとブランド側や代理店側でマーケティングを担当してたこともあり、ブランディングとかそういったことも含めて理解に長けている人が担当しています。そういう専門性を持っている担当がパートナー企業と向き合っています。

パートナーシップマーケティングチームとしても、いかにアワードにノミネートされて受賞するか、というのはKPIとしてあるので、そこはすごく力を入れていますね。日本でもそういうスポンサーシップのアクティベーションを評価するコンペティションというかアワードを…

平地 そもそもそれが国内に今ないですよね。

西脇 まあそうですね。僕が知っている限りだと、スポーツテック東京さんだったかな、スポーツ庁がやっていたかな。

平地 アクティベーション賞がありますね。

西脇 そうですね、スポーツテック東京さんかな。

平地 スポーツ庁とスポーツテック東京がやっているイノベーションリーグですね。オープンイノベーション事業の中に4つ賞があったはずで、その中にアクティベーション賞ありましたね。僕この取り組みのメンターなんです(笑)

こういうところに本当もっとたくさんの事例というか、なんならそれを取りたい!くらいの企業が増えてくれるとすごくいいのだろうな、と思っています。そういった事例のムービーだけ見ててもちょっと泣けてきたりするような作品とかも世界だと結構ありますよね。大好物で。あの辺とか、僕らが映像作るのでぜひお声がけいただきたいですね。

西脇 企業側のアクティベーションの内容、効果測定のデータ、例えばどれぐらいのエンゲージメントやビューがでたとかデジタル上でのいわゆるKPIになっているような項目を実際に出しながら、ストーリーにしてアクティベーションのケースムービーを作っています。それをスポンサーシップ・アクティベーション・アワードに出したりしますね。もうケースムービーはいっぱいあります(笑)

平地 そうですよね。この辺がもっと溢れてくると、きっといろいろな人に見てもらえて、気づいてもらえるのかと思います。

西脇 ケースムービーってセールスの立場から見ても、とても有効ですよね。今、マンチェスターシティってグローバルパートナーで30社、リージョンのパートナーで18社で合計48社いて、僕がすべてのスポンサーシップマネージメントを知っているわけではないじゃないですか。我々の現パートナーがどういうことをやっているのかということをグループ全体としてナレッジシェアしていかないといけない。

そのときにケースムービーはやはりすごく有効で。例えばヨーロッパのとある企業のアカウントマネジメントをヨーロッパ側でやっている場合、そこで行われたアクティベーションの企画と実行は日本にいる僕は関与していないですけど、実際出来上がったケースムービーを見ていくとそのストーリーとか背景とか目的が理解できて、どういうアクティベーションをしてどれだけの数値が出たのかというのはパッと出てくるんですよね。

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平地 最高です。

西脇 それって自分としては我々の組織がそれだけの効果を出せるケイパビリティがあるということの立証にもなるし、パートナーシップをご検討していただいている企業に対して、どういう課題背景や目的があってこのアクティベーションをしているのか、実例を見せることができるのはやっぱりセールスする立場からすればすごくありがたいですし、組織体制に感謝ですよね。

海外企業の社内体制とインベスト(投資)

平地 その組織のためにももちろんなると思いますし、それをお客さんに渡してお客さんも社内的にそれを使って報告もできるのかなと思うので、そういう全体的な意味でも価値があるものかなと。

CFGとして、そのケースムービーもすごくこだわって作るじゃないですか。海外のアドのアワード作品とかもそうだけど、そこはやっぱりちゃんとインベストして、自己投資して、作っていますよね。

西脇 もちろん。

平地 それはさすがにお客さんからはお金もらえないですからね。

西脇 もちろん。

平地 そこの自助努力みたいなものもすごく重要だし、その辺がなされていくと今後すごく価値が上がっていくし、とってもいいのかな、と思ってます。

西脇 僕自身、国内でのライツホルダーとお仕事をいろいろとしてきましたが、外国と国内のスポーツチームでは、セールス業務に対する考え方は、少し違う感じはしますね。

平地 内製に対するところですね。社内の人材とかさっきのムービーの制作費や制作チームの人件費など。

西脇 いろいろなものですね。自分たちのリターンを得るために、やっぱり投資しなきゃ得られない。

もちろん、外資・内資に限らず、どのくらいの費用を使ってどのくらいのリターンがあったかというのは当然計算してると思いますが、何か事業を大きくするためには、そもそも大きく投資していかないとその事業が拡大していかないというのが普通なので、そこの見極め、力の入れ方みたいなのは違うと思いますね。

何も変えることなく、現状維持のまま事業を拡大しようというのは、やっぱ難しいですし。

平地 結構厳しいですよね。

西脇 しっかり精査して、投資したものが売上というものにちゃんとつながるかとか、マーケティングにつながるか、ということをしっかり見定めて投資していかないと、なかなか大きくなっていかないですね。

平地 張れる判断(投資判断)ができるというのはすごく組織体制としても重要かなと思うので、そこはやっぱ必要とされますよね。

西脇 人に対しても投資をするということもすごく重要だと思います。

平地 そうですよね。ちょっと戻ってしまうのですが、さっきの話の中でぜひ深掘って聞きたいなと思ったところがあって。西脇さんたちがいて、マーケティングチームがいる、という話があったじゃないですか。

それはクラブさんの中に置き換えて考えても、スポンサーセールスの人がいて、そこにマーケティングチームの人がいれば、たぶんよりいい提案とかできるのかな、と思ってます。それこそさっきの数値のレポーティングの話とか、さっきの事例の話とかも含めて、そういう人がいるだけでかなりセールス活動が変わるんじゃないかな。

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西脇 変わりますね。僕もマンチェスターシティで働いて、ある企業さんに提案をしにいく時に、当然一番自分が向き合ってるのでアイデアは考えるじゃないですか。でも、僕1人でやっているのではなく、セールスの上司がいて、隣にパートナーマーケティングという部署がいて。マンチェスター本体にも、プランニング&クリエイティブという特にセールスストーリーを考える部隊がいて、デザインチームもいて、みんなで一緒にワークしながらひとつのパートナーシップの受注、そしてそれ以降のパートナーシップライフをサポートしています。契約する前にお客さんにアクティベーションのアイデアをプレゼンする際、自分で考えた以上のアイデアをパートナーシップマーケティングのヘッドからもらえるんですよね。

自分の考えを超えてくるアイデアに出会うとすごいなとも思いますし、逆に自分としても、どうしてこの人はそういうアイデアが思いついたのかというところにも興味を持つし、なんでこのアクティベーションのアイデアがいいと思ったのか?そんなことを因数分解して、次の案件に活かしていくようにしています。

今後の国内スポーツクラブにおける人材の捉え方

平地 いやほんとそうですよね。人の採用とかも、さっきの自己投資のうちのひとつになるかなと思っていて、それこそ代理店でプランナーやってました、みたいな人がセールスの横にいてくれたらすごく良いアイデアが作れるんだろうな。

今の話からちょっと逸れるかもしれないですけど、僕いつも思ってるのは、クラブにクリエイティブディレクターがいると、そのプランニングしたものもよりクリエイティブな形で外に発信することができて、そうするとよりPR効果もあってお客様満足度も高くて、みたいなのもあるなと思っていて。

だからいつもマーケターとクリエイティブディレクター、この2人がいるとクラブの営業活動とかスポンサーシップとかそれこそダイレクトマーケティングとかファンマーケティングの方でも、全てがグロースするんだろうなっていつも思ってるんです。隣にマーケターがいると、きっとスポンサーシップセールスのいい提案もできるだろうな、アクティベーションの部分に強いかなと思うし、それをクリエーションできるクリエイティブディレクターがいると本当グロースするんだろうなって思っていて。

さっきの話で言うと、さすがだなという話ではありますけど、CFGグループとしてはそこが体制として整っていて、それはやっぱり自社で人材というものに投資しているからこそだと思う。国内は国内で素晴らしい活動を皆さんされているのだと思うんですけど、よりグロースさせていくっていう意味でいうと、その2パーソンいるとすごいのじゃないかなと思うんです。

西脇 だからもう平地さんの会社がそこをやっぱ請け負わないといけないんじゃないですか。

平地 そんな、いいんすか(笑)?

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西脇 いやいや、全然(笑)だってデザインとかクリエイティブに長けた人がスポーツ業界にいっぱい入ってくればいいですけど、なかなか現実的にね。結構難易度が高い問題ですよね…

平地 かなり難易度高いですね。

西脇 僕自身は採用もやってみたいなとは思いますね、自分の頭の中にある組織図、スポンサーシップ・パートナーシップ事業部という設計図があったりするので。ただそれを具現化する時にやっぱ超えなきゃいけないのが採用。

平地 人、ですよね。

西脇 だからそう考えると、平地さんのところでそうした能力を持っていらっしゃるじゃないですか。それはすごくスポーツ業界に貢献できるところじゃないかなって思いますよね。

平地 ありがたいです。いいんすか?対談の最後のほうで営業トークに持ち込んで(笑)

西脇 宣伝しちゃいました(笑)

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平地 でも確かにそうですよね、僕らが代行させてもらえれば結構色々解決できちゃうからシンプルで。

正直片手間でできる内容でもないと思ってますし、それこそ50社100社200社スポンサーセールスの方が担当企業として持たれている中で、ニッパチの法則で考えたとしても何十社とあるわけじゃないですか。例えば重要クライアントが20社ぐらいあるとして、そこに対して本当にひとつずつアクティベーションプランを考えて実行してレポーティングしてと考えると、もうそこはベタ張りでひとりは最低でも必要なんだろうな、と思うんです。

そういう人材がそれこそ僕らの中で育てられてクラブさん側にご提供できると…

西脇 それいいですね、良いサイクルですね。平地さんの会社で経験を積んで、巣立っていって、また新しい人が入って、みたいな。

平地 行ってもらったら、その後もたぶん僕らはご一緒できるはず。もし中に入ったとしても、全部はひとりでできないじゃないですか。だから僕らがやる仕事と、中でやる仕事と分担すればいいんですよね、きっと。

西脇 それが理想的ですよね。それすごくいいじゃないですか。

平地 それこそ僕らがミニCFG的な動きをクラブさんとする、ってことですかね。

西脇 すごい数のスポーツチームさんと付き合ってらっしゃいますし、そのベースもあるから、そういう事業も十二分に考えられますよね。

西脇さんがこれからトライしたいこと

平地 ありがとうございます。じゃあちょっと時間もあれなので最後にひとつ聞きたいなというところで、今後西脇さんが引き続きスポンサーシップセールスをやっていくうえでこういうことをトライしてみたいな、とか今後こういう活動をしていこうかな、みたいのがあればアピールじゃないですけれど、共有いただけるとすごくいいかなと思ってて。

西脇 そうですね、やはり非常にプロフェッショナルなパートナーシップのビジネスに携わらせていただいていて、今プレミアリーグでも昨年マンチェスター・シティも優勝しましたし、会社としても非常にユニークで11クラブを持ってるというユニークなポジショニングの場所でお仕事させていただいているので、日本の企業さんとの実績をもっと増やしていきたいな、というのがまずベースにありますね。

という中でこの業界自体を変えるというとすごく恐縮ですけれど、いい刺激を与えられる存在になっていたいな、というのはありますかね。

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平地 まさに今日この時間を持たせてもらっているのもそのうちのひとつなのかな、と思っていて、こういった今までのご経験とかをオープンにしてもらいながら考えも伝えてもらって、これで少しでも多くの人たちが何かを感じてくれればいいですよね。

西脇 僕自身感じるのが、プレミアリーグの世界最高峰のパートナーシップのビジネスをやっているひとりの日本人なので、自分のところだけの情報にしておくのはもったいないなと思っています。他のスポーツチームで働かれている方やスポンサーシップをやってらっしゃる企業の方はたくさんいらっしゃると思うので、そういう方々に対していい意味で情報提供や発信をしていきたい。

業界が発展していくためには、必要な活動だと思ってるので、そこですかね。また、マンチェスターシティのパートナーシップ事業を成功させていくことが結果として日本のスポンサーシップ業界ひいてはスポーツ業界の発展に寄与できる。そういう動き方をしていきたいなと思ってます。

平地 それちょっとご一緒させていただきたい活動ですね。

西脇 一緒にやりましょうよ!

平地 やりたいっす!せっかくここまでお話聞かせてもらって、西脇さんのところにはいろいろな事例もあるし、それこそ社内に戻っていただければさらに豊富な事例もあるかなと思うので、そういうのを少しでもスポーツに投資してみようかな、とかスポーツを活用してみたい、とか何か興味を持ってくれている会社さんだったりブランドさんだったり、はたまたもうやってるけど満足してないみたいなブランドさんだったりに集まっていただいて、こういったお話だったり、事例ベースの共有があるとすごく良いですよね。

その場でどういう風に活用すればいいと思いますか?みたいなちょっとアクティブな相談会とか、そんなのができたら面白くないですか?

スポンサーアクティベーションのカンファレンス

西脇 ほんとやった方がいいと思ってて、僕らはそれやってるんですよ。パートナーシップフォーラムというイベントを年1回マンチェスターで行っています。主にグローバルパートナー向けに。リージョナルのパートナー向けには、僕らはAPACチームなのでシンガポールで集まってやってます。パートナー企業の担当者が参加されて、実際のパートナーシップが1年間どうだったのか、成功したのか失敗したのか等の事例やナレッジのシェアをしています。

あとはクラブとして、せっかく現地に来てもらうので、クラブのフィロソフィーとかを伝えています。また最近のマーケティングのトレンドなどをご説明します。メディアも呼んで、かなり大規模なイベントになってます。2泊3日とかで。

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平地 カンファレンス的なやつですよね。

西脇 2泊3日でマンチェスターのシティーフットボールアカデミーで、東京ドーム11個分ぐらいの施設なんですけど、そこで実際のホスピタリティーももちろん体験してもらいたいから、選手も呼んだりします。

クラブのことをもっと理解してもらいたいし、ブランドさんの抱えている悩みとかもより親密な中で聞いておきたいし、パートナー同士で横との繋がりみたいなものもちゃんと作るようにしてます。

パートナーフォーラムには僕自身まだ参加はしたことがなくて、主にマーケティングチームが行くので、セールスチームはあまり行かないんですけど、映像とか見ているとやっぱりすごいですね。

平地 そうですよね、そうでしょうね。それをやりたいなあ。

西脇 もちろん日本のスポーツチームさんにも近しいものをやっているところもたぶんあると思いますが、パートナーシップというビジネスにより焦点をあててどう次年度のパートナーシップを良くしていくのか、というところのインプットを与える場として非常に重要です。

クラブのオーディエンスのプロファイルとかそのオーディエンスが今どういうメディアを使っているのかアップデート情報を知れてるようで知られていないじゃないですか。C向けのマーケティングを担当も参加しますし、パートナーシップのマーケティング担当は当然参加します。結局、企業からすると、クラブの先にいるオーディエンスにアクセスしていくことはやはり主な目的のひとつだったりするので。


そのオーディエンスが今どうなっているのかという情報は常にアップデートしてお伝えしていかないといけないし、あとはクラブ自身がどういう方向に向かっていってるのか、当然スポーツなので、競技という側面も。面白いのは、マンチェスターシティーのコーチがどういう風に選手にレクチャーしているのかをスポンサー担当者が体験できる場があります。

実際ユニフォームに着替えて、スパイクを履いて、担当者同士でサッカーをやったりするので、そりゃ仲良くなるじゃないですか(笑)すべてがうまく設計されているんですよね。

平地 面白いですね!めっちゃ興味深いです。

西脇 そうすると、ますますクラブのことを好きになるじゃないですか。ロイヤリティーも高まるし、パートナーであることの満足度も高めていく。そのための企画みたいなものは惜しんじゃいけないかなと。

平地 いやそれやっぱ結局投資っすもんね。だいぶお金かかりますもんね。

西脇 もちろん!食事も出ますしね。でもやっぱその後好きになるじゃないですか?

スポンサーシップのビジネスってロジックの部分、エモーショナルな部分、ステータスみたいな部分、様々なファクターがあるビジネスなので、そこを理解した上で組み立てていこう、という感じですよね。

平地 それやりたいなー。ほんと。実現には、やはり規模も関係してきますよね。それができるだけの収益を上げている、というのはもちろんあるかなと思うので。

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西脇 パートナーの数と売上は、引き続き伸びてますからね。元々2015年ぐらいだと155億ぐらいだったのが、今は400億とかそのくらい伸びてるので。

しかも、いわゆるトップブランドと言われる企業さんを迎えられているので、裏返しとしてそのケイパビリティがちゃんとある、ということが理解されていると感じます。

そういう組織にいることの誇らしさみたいなのはやっぱりありますよね。自分はこのスポンサーシップのビジネスのプロフェッショナルというか、ずっとその専門的なポジショニングというかキャリアを作っていきたいと思ってて、今まさに学びながら実践しているので幸せですよね。

もともと留学を検討していた頃、日本ではスポンサーシップビジネスに関するリサーチペーパーは限られていて当時あまりなかったんですよね。留学したのはサッカービジネス専門のMBAコースですけど、経営者になるとかそういうことよりも、まずはこのスポンサーシップビジネスを深く、まずはロジックとセオリーをいろいろ学びたいと思ってたのでひたすら文献を読んでましたね。ある程度、自分のこうあるべきだみたいなのを掴んだので、それを踏まえてJFAに入って実際のプラティカルな部分を更に学べたというのはすごく大きかったですね。

平地 それはやっぱ公開していきましょう!そういう場を僕らの方でぜひとも作らせてもらって、それこそブランドさんとかも呼べるのであれば呼ばせてもらって。僕はファシリさせてもらうので、3人でその辺の話をして、いろいろな人に事例を共有していって、マーケット自体が上がっていくような良い取り組みができたらいいな、と思ってます。それはちょっと、ぜひやりましょう。

西脇 やりましょう。お願いします。

平地 ホントやった方がいいですね。良い事例を共有することほど営業が促進されることはないので、良い事例をもっと世に出していきたいですね。

アワードだな、アワードを作りたいな。とりあえずPSIの『勝手にアワード』見たいのをPSIのnoteで出していこうかな。面白いアクティベーションありました!みたいな感じで。監修にマネフォの石戸くんにも入ってもらって、スポデジ監修で、て。

西脇 そういうプラットフォームがあると企業さんもやっぱ出てみたいというか、効果を会社に説明しなきゃいけない場としても有効活用できるし、なおかつ一番のメリットはスポンサーをしている企業側の横のつながりが構築できますし。もちろん効果測定をやっている企業とやっていない企業はあるものの、ベストプラクティスみたいなことが、客観的に評価できていないんですよね。

そこがやっぱもったいないですよね、競合とかじゃなければナレッジとか手法とか共有していかないとなかなか良くなっていかないですよね。そういった業界のために動いたことって、結局ライツホルダー側のセールスの質の向上という結果にも返ってくるので。仮に、自分達だけで満足しているというのだったら業界としての発展はあんまないですね。

平地 そう感じちゃいますね。枠を売るのに必死になっている、と感じちゃうこともあるのは正直悲しいです。

西脇 それはやっぱもったいないですよね。僕はキャリア的にそのポジションというか、専門的なキャリアで生きてきたので、そこのイノベーションにすごく興味もあるし、やらなきゃいけないな、という使命感みたいなのもあるし。

平地 風穴を開けましょう、そこは。スポンサーシップセールス2.0すね(笑)

西脇 ぜひぜひ。

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ゲスト紹介(西脇智洋氏)

本日ゲストとして対談いただいた西脇さんのTwitterはこちらです↓

インタビュアー紹介(平地大樹)