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スポンサー”枠”に囚われないこれからのスポンサーセールス(クラブのセールス)のあり方(前編)

約3年前からチケットマーケティングで取引のあるクラブ様にプラスクラス・スポーツ・インキュベーション(以下PSI)としてスポンサーセールスの支援をご提供してきました。具体的には新規のスポンサーを見つけてくることはもちろん、特に注力してきたのが既存のスポンサーへの追加提案や満足度向上のための提案で、いくつか事例としても一般公開することができました。

この3年間の経験から、スポンサーセールスにおいてPSIがスポーツ業界にどう貢献できるか?そこに必要な課題感の炙り出しと解決方法の思案には正直そこまで時間はかかりませんでした。PSIとしてプロダクト化するのにはもちろん時間はかかりましたが^^;;

僕たちが今後注力することは以下の4つです。

1. スポンサーに ”なれば” 実利に繋がるような仕組み(メリット追加)を作る。
2. ライツを売る。アクティベーションも売る。
3. スポンサー企業にスポンサー活用法を啓蒙し、より良いパートナー契約を結ぶ。
4. スポンサーという枠に囚われない。企業として、クラブの売上を上げる。


それぞれ説明していきます。

1. スポンサーに ”なれば” 実利に繋がるのか?

答えはYESでもあり、NOでもあります。実利への繋げ方は様々あります。ただそれを行動に移していない、移せていない事例も少なくはありません。

スポンサーになればそのカテゴリ(金額によるランクのようなモノ)の違いはあれど、ユニフォームにロゴが掲出されて露出する。看板に社名が掲出されて露出する。チラシやホームページにロゴが掲出されて露出する。チームの公式SNSでスポンサー紹介などが投稿されて社名が露出する。認知度が上がり、ファンやサポーターに名前が知られ、結果的にサービスを使ってもらえる。ザックリ言うとそういったメリットがあります。

また、この後も度々出てくるキーワードですが「アクティベーション」をしっかりと活用すれば効果の出るスポンサー権利の利用がさらに可能になります。アクティベーションとは、スポンサー権利の有効活用のことを指し、チームのロゴが使える、選手の肖像権を活用できる、先述した看板にロゴが掲出される、なども含まれます。

このアクティベーションへの費用投下は必須で、予算としては基本的にはスポンサー企業が用意するものになります。スポンサーの費用はライツ=権利を買うのに必要な経費であり、このアクティベーションでライツを最大限活用してスポンサー企業は販促やブランディングをしていきます。コカコーラ社ではスポンサー費用の4倍(5倍だったかも汗)をアクティベーション費用として予算計上する、という話を聞いたこともあり、さすがだな、と感じています。

ロゴの掲出などの「認知を上げる」活動だけで売上などの企業の経営指標にインパクトを出せるか?正直な話、すごくダイレクト!ではないと考えます。もちろん、スポンサーになることで得られるメリットは売上だけではなく、ここには記述できないほどたくさんあります。そのメリットを企業側がしっかりと捉えられてる場合には状況は変わってきます。

僕らが感じた違和感

こうしてスポンサーセールスの支援活動をする中で、第一に肌で感じたのがスポンサーになることへのメリットの少なさでした。

販促を生業としてる僕らだからこそ、

「もっと売上にインパクトが出せるアクティベーションを企画できないだろうか…。」
「もっとSNSのフォロワーが増えるなど、具体的に立てた目的や目標を達成できるスポンサー権利の活用方法はないだろうか…。」
「もっとファンの間でUGCが生まれてスポンサー企業の認知や販促に繋がらないか…。」

と結構考えさせられました。事実、スポンサーになっても実利につながっていない企業も多々あります。もちろん「地元(or 出身)クラブを応援する!」ことが目的でスポンサーになっている企業もたくさんあるので、全てが全て実利につながらないとダメなのか?で言えば違うのですが。ただ、日々投資対効果というワードに向き合ってきた僕らからすれば、限られた企業の広告費用から実利が生み出せない投資予算は、いずれきっと縮小するかなくなっていくとどうしても結論つけてしまいます。

クラブとスポンサー/パートナー企業が今より一層強い繋がりを持つ。そしてそのスポンサー/パートナー同”志”も「一緒にチームを応援する」という繋がりだけではなく、ビジネスでも繋がっていく。そしてそこにお金が生まれていく。そういう思想で、PSIのスポンサーマーケティングにおける肝となるツール『パートナーズシップ』を開発しました。

パートナーズシップを活用すれば、

・資金面で支援をしてくれている企業(スポンサー/パートナー)へどこよりも早く一次情報を展開できる。
 └一般的な公開情報を二次情報としてチームを応援してくれているファンへ届ける。スポンサーやパートナーは知るべき情報をより早く知っておくべき。
 └三次情報としてメディアへの展開や発信を行う。

・企業同士の具体的なウォンツやニーズの事案に対して(のみ)スポンサー/パートナー同士がクラブの営業を通さず自由にマッチングできる。『経済の活性化』がクラブをハブとして生まれる!

・スポンサー/パートナー企業のウォンツやニーズが一覧化できるので活用方法は様々。
 └既存のスポンサー同志でウォンツやニーズを解決できない場合、新たなスポンサーやパートナーを連れて来やすい。具体的なメリットがあるから営業トークでも生きる。
 └スポンサー/パートナーにならずとも、その課題を解決できる企業と組めば代理店としてフィーをもらえる新たな営業収益軸も確立できる。(4でも語られます。)
 └スポンサー/パートナー企業のインハウスマーケターやインサイドセールスの方々が見るべきホットリストにもなりえる。

こんなことが出来るようになります。スポンサー/パートナーのIT管理はもちろん、営業支援ツールとしても活用できてしまう!とイメージいただければ幸いです。今後そういった機能も開発していくのでご期待ください。

スポンサー/パートナーになればこのマッチング制度に参加できる。極論、そんなスポンサーメリットのひとつになれたら良いな、と思っています。スポンサーに ”なれば”、クラブをハブにした経済圏に参加でき、数百社とホットなお付き合いがクラブとの関係性を通してできるなんてこれ以上ないスポンサーメリットじゃないですか!?

これから多数のクラブ様に導入していただき、パートナーズシップをベースとした経済圏の構築に僕も尽力していく所存です。僕らは引き続きプロダクトの磨き上げと利用率UPのためのカスタマーサクセスの確立に力を注いでいきます。

2. アクティベーションという考え方

まだまだ日本のスポーツビジネスは!と言われることがあるのは個人的には全く不条理だと感じてます。日本は日本で優れていることもあるし、海外は海外で優れていることがある。そもそも文化も環境も違う中で、比べること自体がナンセンスでもあるわけで。

ただ、僕がすごく好きなエピソードが海外にはあって、この考え方は国内にも絶対に必要だな〜!と感じています。アクティベーションへの組織的な取り組み方についてです。

・アクティベーションに対する組織の創り方
・アクティベーションを世の中的に評価する仕組み

まず組織の創り方ですが、スポンサーセールスにおいて、

①新規チーム
②アクティベーションチーム(要は既存の満足度向上チーム)

という部隊を分けて用意することです。そしてこの①と②は密に連携しています。提案の時もそうだし、企画の時もそう。そして評価制度においても。提案はもちろん新規チームがフロントとなり開拓していきながら、提案時にしっかりとアクティベーションプランを練って提案する。そこはアクティベーションチームが担当し、実際に受注したらこのアクティベーションチームが運用します。

新規スポンサー獲得のフォローもしつつ、既存スポンサーの満足度向上も行う。なので、翌シーズンでスポンサー継続がなされたらアクティベーション担当が賞賛されます。ここで秀逸なのが評価制度の仕組みです。

新規でスポンサーが獲得できたら評価が新規チームにもちろん付くのですが、アクティベーションチームにも付きます。提案も一緒にしてますしね、納得です。さらに、スポンサーの継続が決まれば、アクティベーションチームに評価が付き、なんと新規チームにも付きます。新規ではないのに!この2つのチームは共存共栄の関係なのです。だからどちらもどちらのチームのために頑張る、という仕組みになっています。

国内でこうやって仕組み化されているクラブはあるか?そもそもアクティベーションチームがあるか?まだまだそうではないクラブが多いのが僕が知りうる限りの現状です。日本のスポーツ団体は恒常的に人手不足で、イチ営業マンがどちらも担当していることをよく目にします。それで回るの?投資いただいた費用の効果を最大化できるの?これは一筋縄ではいかない難しい問題です。

どうも、私たち(PSI)がクラブのアクティベーション担当です!

これが出来てしまえば、言えてしまえば、良いことかなと最近思っています。今からアクティベーション担当を採用するのも難しいと思いますし、日本でなかなか「それやってきた!」と胸張って言える人が多くいるとも思えません。であれば、10年前からお客様の課題を解決できるマーケティングプランを考え、実行までしてきたプラスクラス(=PSI)がやれば良い、と。僕らがアクティベーション部署ごと代行する、ということです。

PSIに任せてもらえれば、スポンサー様への提案の段階から入ってアクティベーションプランは企画できますし、(特にデジタルが強みにはなりますが)実行まで可能です。本来はクラブ内にアクティベーションを扱える人材がいるのがベストですが、まずはアウトソースから始めてみて、価値のある取り組みだと思えばマッチする人材を採用していけば良いんです。代理店でのプランナー経験とかあれば良さそうではありますよね。

アクティベーションが価値を創出する

先述しましたが、スポンサー費用で購入できるモノは、当該企業がチームのスポンサーだと謳う権利(ライツ)。そしてアクティベーション費用で手に入れられるモノが、ライツを活用したマーケティングによる投資対効果。スポンサーをする時にはこのどちらも社内で費用計上しておく必要があり、アクティベーションまで実行して初めて企業が求める効果を手に入れることができます。

なかなかどうして、日本ではアクティベーション費用がスポンサー費用に内包されるイメージを持たれており、セールス時に説明をするのが難しかったりします。今までの商慣習として、そうだったものを違うよ!と説明するのは苦労するものです。でもどちらもかかる費用ではありますが、それ以上の投資対効果を返す提案をしていればビジネスとしては問題はないはずです。

費用や権利についてしっかり説明をすること。求める効果の期待ができる提案をすること。スポンサー/パートナー企業、そしてクラブの課題に向き合い、解決できる関係性や契約を結ぶこと。これらを意識できれば良い契約になるはずです。そして、クラブ側に寄り添う僕らとしては、上記のカタチこそがしっかりクラブの利益を確保できる契約になると考えています。こうした関係性であれば花火を上げるような1度の契約でなく、毎年お互いに「次はこうしていきましょう!」という話ができる本来のパートナーとなれると信じてやみません。

後編へ続く

今回は前編ということで、以下の1と2について書かせていただきました。

1. スポンサーに ”なれば” 実利に繋がるような仕組み(メリット追加)を作る。
2. ライツを売る。アクティベーションも売る。
3. スポンサー企業にスポンサー活用法を啓蒙し、より良いパートナー契約を結ぶ。
4. スポンサーという枠に囚われない。企業として、クラブの売上を上げる。

後編は3と4について書かせていただきます。変化が求められているのはクラブだけではない。企業側も意識を変革していかなければスポンサー費用・アクティベーション費用(以後はスポンサー費用とまとめて表現します)を良い投資とできません。メディア価値、認知の価値だけではもう限界が見えているスポンサーセールスの未来の形を引き続きお話していければと思います。後編もよろしくお願いします。

後編、公開しました。こちらも合わせてご覧ください。

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