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『スポーツ団体向けウェブ解析ガイドライン』を公開しました

多くのチームやリーグをご支援してきてよく質問されるのが、「どの媒体での情報発信が集客に一番繋がりやすいですか?」「何から優先して行えば良いかわからないのですが...」といったものです。

ご挨拶とダウンロード
現在の日本のスポーツ業界では、マーケティングないしはデジタルマーケティングに十分な人員を割けているとは決して言えない状況です。それでもウェブ活用はほぼ全ての場合で必要とされ、日々進化するSNSはプラットフォームが増えるばかりです。ウェブサイトやSNSの効果が実際のところわからない。それでもやらないわけにはいかない。何から手をつければいいのかわからない。こうした悩みはなくならず、結果可もなく不可もなく対応だけしている、になっているとも言えます。

このような現状を打破するためにも、これまでにご支援してきた約70のチームや約20のリーグ・協会の現状を見てきて、今なお支援し続けているプラスクラス・スポーツ・インキュベーション株式会社(以下 PSI)がスポーツ団体にウェブ活用における判断軸を持ってもらうために、デジタルマーケティングの数値化・見える化を提供しようと決めました。その取得方法や、そもそもなぜその数値を取得すべきか?という概念を示したものが、この『スポーツ団体向けウェブ解析ガイドライン』になります。以下より誰でも無償でダウンロードできます。


プロスポーツチームやプロリーグ、アマチュアスポーツ団体やアマチュアリーグ、そして協会や学生団体など全てのスポーツ団体に向けたウェブ解析のためのガイドラインとなっています。ガイドライン策定においては、PSIにデータマーケティングコーディネーターとして参画した森野氏が監修しているため、スポーツに特化した内容になっているものの、データを活用したマーケティングを日々実施している企業と同様の高い水準でデータ取得ができるものになっています。

本noteではガイドラインの内容に沿って各パートを補足する形で説明を入れました。もしPDFの資料だけでわからない場合は、記事も合わせて読んでいただければと思います。

ウェブ解析の目的

ウェブ解析ガイドライン.004

ウェブ解析を『STPD』サイクルで考えることで、チケットやECにおけるグッズの売上増加など、ウェブサイトをユーザーにとって使いやすく、スポーツチームにとって収益増加に繋がるサイトに改善していくことができます。

STPDとは、
See(現状を見る)
Think(よく考える)
Plan(計画する)
Do(実行する)
の頭文字をとったマネジメント手法のひとつです。

PDCAは聞いたことがある人も多いと思いますが、PDCAと違うところは、Planの前にSeeとThinkのプロセスがあり、きちんと現状を把握し、その要因を考えてから計画を立てることです。

ウェブ解析においては、まずは分析するためのデータが計測できているか、目的に沿ったデータが計測できているか、を把握することが大切です。スポーツ領域もデジタル化が進んできているものの、まだまだデータ計測の段階からつまづいている団体は少なくありません。

そのため、まずは「See現状把握が必要です。データがきちんと計測できていないのであれば、最初に取り掛かるべきはデータ計測の整備です。そうして、データがきちんと取得されて初めて自社サイトの現状を正確に知ることができます。どれくらいのユーザーがサイトに訪れているか、どこから情報を得て訪れているか、またどこのページがよく見られていてチケット購入に繋がっているか、などを把握することで、どこに課題があるかわかります。

自社サイトの現状と課題がわかると、次は「Think」なぜそうなっているか、という要因を考えます。結果には必ず要因があるので、どうしてこの日はサイトに訪れているユーザーが多いのか、このページがよく見られているのか、チケット購入率が低いのか、といった要因を考え仮説をたてます。

次に「Plan」課題を解決するためには何をしたら良いか計画をたてます。先ほどたてた仮説から、現状を改善するため、課題を解決するためにどのような施策を打つべきかを検討します。

打つべき施策が決まったら、「Do実行します。
そして、実行した結果、どのようになったのかを把握する「See」に戻ります。こうしてSTPDサイクルをまわすことで、より良いサイトに改善していくことができます。

ウェブ解析で解決できる課題

ウェブ解析ガイドライン.005

冒頭でも述べたように、多くのチームから「どの媒体が最も集客に繋がりますか?」「リソースが足りずすべてのSNSに手が回らない」「どこにどれくらい予算をかければ良いですか?」といった話をよく聞きます。

それらの課題を解決できるのがウェブ解析です。というのも、ウェブはユーザーの動きを数値化することができるため、実際にどの媒体からきたユーザーがチケットを購入しているか、サイト内のどのページがチケット購入に繋がっているか、などを知ることができ、マネタイズポイントが明確になります。

ウェブ解析のためのツール

上述した課題を解決するために必要となるのが下記のツールです。ひとつずつ簡単にご紹介します。

❶Google Analytics
❷Google Tag Manager
❸(Google)Search Console
❹utmパラメータ

❶Google Analytics(GA)
言わずと知れたGAです。こちらのツールは比較的導入しているクラブや団体も多いです。どのようなユーザーがどれくらいサイトに訪れているのかなどを知るための、ウェブ解析には欠かせないツールです。

❷Google Tag Manager(GTM)
GTMやタグマネと呼ばれるツールです。GAと混同してしまう人も多いツールですが、GAだけでなくGoogle広告など様々なツールのタグを一元管理するためのツールです。このツールを導入することで、どのチケットボタンが最もクリックされたか、ページのどこまで読まれたか、などを計測することができます。

❸(Google)Search Console
Google検索において、どのようなキーワードで検索されたのか、どれくらい検索結果に表示されたのか、それをクリックされたのか、といったことがわかります。GAが自社サイトに入ってきてからのユーザー行動を把握するためのものとすると、Search Consoleは自社サイトに入ってくる前のユーザー行動を把握するためのものとなります。

❹utmパラメータ
ツールではなく各媒体に掲載するURLに付与するものです。TwitterやLINEなどのSNSは多くの人がアプリで利用していると思いますが、そういったアプリからの流入は、utmパラメータと呼ばれるものを投稿時にURLに付与しないと、すべて計測がGA上で(direct)/(none)と判別されてしまい、正しいデータ取得ができません。そのため、SNSやメールなど各媒体の効果を知るためには投稿や記載したリンクに必ずutmパラメータを付与し、GA上で計測可能にする必要があります。

ウェブ解析ガイドライン.006

来場に至るまでのユーザー行動

ユーザーが自社サイトに訪れてから来場に至るまでの行動の、どの部分を各ツールが取得できるか図示したものです。

ウェブ解析ガイドライン.007

各ツールを導入することにより、ユーザーがどの媒体から自社サイトに訪れ、どのくらいのユーザーがチケットサイト(上記の場合はJリーグチケットサイト)に遷移し、チケットを購入し、スタジアムに来場したのか、といった媒体ごとのチケットサイトへの送客率や購入率を把握することができます。

See<何が起きたのか>

上で示した来場に至るまでのユーザー行動の各フェーズにおいてツールで見るべき項目を図示したものです。誰が、どのように訪問し、どのような行動をとり、目標が達成されたのか、を知ることができ、現状が把握できます。

ウェブ解析ガイドライン.009

どのようなユーザーがサイト内でどのような行動をしたのかを把握するためのレポートです。これらの数値を確認・分析することで、現状の把握と課題の発見に繋がります。

レポートフォーマットはこちらからダウンロードできます。※以下の図は一部表示

ウェブ解析ガイドライン.010

Think<なぜ起きたのか>

計測によって得られた数値がなぜその結果となったのか、なぜ起きたのか、の要因を考えます。ウェブだけの要因にとらわれず、市場や顧客他社(競合)自社の要素から考えるマーケティングのフレームワークとして有名な3C分析を元に考えます。ここで、他社として考えなければいけないのは、スポーツにおいては同競技の他クラブではなく、可処分時間や可処分所得を取り合う他競技や他エンターテインメントとなります。

しかし、他社すなわち対戦相手によっても集客状況が変動するため、分析対象としています。また、スポーツ特有のものとして、試合ごとの変動要因があります。対戦相手はもちろん、自クラブの順位やイベント企画、当日の天気によってもチケットの販売や集客状況が変動します。これらの要因を自社内で時系列比較、他社比較をすることで課題を発見することができます。

ウェブ解析ガイドライン.012

Plan<何をすべきなのか>

課題を解決するために、ウェブ集客において改善すべき要素は主に①ウェブの集客数を上げる②ウェブの回遊率を上げる、のふたつです。

ウェブ集客数を上げるための要素として考えられるのが、表示回数クリック数です。そして、表示回数を上げるためには、広告出稿金額を増やしたり、SNSの投稿数を増やしたり、リーチできる人数を増やすためにフォロワー数を増やしたりすることが必要となり、クリック数を増やすためにはクリエイティブの改善やイベント内容が重要となります。

また、ウェブの回遊率を改善するためには、チケット購入の導線や自社サイトのスピード改善が必要となります。このように、サイトへの訪問数を増やす、サイト内の回遊率を上げるためにどの要素の改善が必要かを検討し、施策を考えます。

ウェブ解析ガイドライン.013

ウェブ解析のSTPD

これまで述べてきたSTPDをスポーツチームにおける事例で見ると、下記のように考えることができます。

事例1
目的:SNSやメールなど最も集客に繋がる媒体を知りたい
See:チケット販売においてどの媒体が効果的なのかわからない
Think:パラメータを振ることでどのSNSから訪れたユーザーがチケットサイトへ遷移しているかが把握できる
Plan:各SNSの投稿やメール配信のリンクURLにパラメータを振る
Do:実施した結果、LINEから訪れたユーザーのチケットサイトへの遷移率が最も高いことがわかった

事例2
目的:チケットサイトへの遷移数を増やしたい
See:HP→チケットサイトよりも、LP→チケットサイトの方が遷移率が高い
Think:LPへの誘導を増やすことでより多くのユーザーをチケットサイトへ遷移できると考える
Plan:SNSやメールなど、ニュースページへ誘導していたものをLPに統一させる
Do:実施した結果、チケットサイトへの遷移数が増加した

目的に応じて、今どのような状況なのかを把握し(See)、要因を考えて仮説を立案し(Think)、施策を考えて(Plan)、実行に移します(Do)。そうしてSTPDサイクルをまわすことで、より良いサイトへと改善することができると考えます。

ウェブ解析のための準備

最後に、ウェブ解析を行うために必要な準備をご紹介します。
これらの設定を行うことで、目的に応じたデータを収集することができ、ユーザーの行動を数値化し、ウェブサイトをより使いやすいサイトへと改善し、収益向上の一助になると考えております。

Google Analytics
Google Tag Manager
(Google)Search Console
utmパラメータ

タグの設置や計測設定の方法がわからない、より詳しく話を聞いてみたいなどありましたら、PSIまでご連絡ください。

ウェブ解析ガイドライン.015

ウェブ解析ガイドライン.016

『スポーツ団体におけるウェブ解析ガイドライン』は下記よりご覧いただけます。


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