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プロスポーツクラブにおける複業人材活用をアナザーワークス、福島ファイヤーボンズと語る

スポーツビジネスをより身近に感じていただくために、プラスクラス・スポーツ・インキュベーション(以下PSI)代表の平地が各界のキーマンにインタビューをさせていただく本企画。

第4回となる今回は、アナザーワークスと福島ファイヤーボンズとの三社間でのインタビューとなります。三社はスポーツ業界、プロスポーツクラブの人材不足という課題解決のために複業人材を活用していくスキームを構築して取り組んでいます。
プロスポーツクラブの人材不足に複業人材を!PSIと複業クラウドが連携してスポーツ業界の課題解決へ

アナザーワークス社からは代表の大林氏、取締役CDOの金氏、人材業界や「複業」について、福島ファイヤーボンズからは代表の西田氏、スポーツクラブの運営について人材の観点から語っていただきます。

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スポーツクラブの人材の現状

平地 本日は皆さんお越しいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。

一同 よろしくお願いします。

平地 本日は僕から「複業 × スポーツ」という文脈で皆さんにお話しを聞いていきたいと思いますが、まず第一に、今回の取組みの経緯から皆さんにお伺いしたいと思います。

まず西田さんにお願いします。大きな話になりますが、スポーツクラブやプロスポーツクラブの人材の現状に対する課題感について伺いたいと思います。

福島ファイヤーボンズ西田氏(以下、西田) 前提の部分からお話させていただくと、地方のプロスポーツクラブは、特にまだ大きな親会社はついていないケース、あとはビッククラブになる手前の発展途上のクラブであれば、事業投資ができてないというのがほとんどだと思います。

福島ファイヤーボンズ 西田氏

理由としては限られた予算の中で、まずは地域に根ざして活動していく、地域の中で認知度を上げていくということを考えると、チームを強くしたいということが第一にきます。チームを強くしたいとすればいい選手、有能な選手を獲得してチームを強化していくということをやらなければならない。ニワトリが先か卵が先かではないですが、やはり先にそこに手をつけなければならないという現状があります。

スポーツクラブの性質上、まずはチームの強化や選手人件費に舵をきるので、どうしても事業投資、つまり人に投資して事業を拡大していくというところが後回しになってしまうというのがベースにあると思います。もれなくファイヤーボンズもそうでして、私がクラブに入る前は社長が何役も兼任しているという状況でした。

平地 西田さんは2年ほど前からファイヤーボンズさんにいらっしゃいますよね。

西田 私自身は、株式会社識学という現在のファイヤーボンズの親会社から出向しているという状況です。現在は比較的人の投資ができている状況になりましたが、私が入った当初は私一人で福島の郡山に乗り込んでいった形でしたので、本当に先ほど申し上げたのと同じような、社長がバタバタと一人で何役もこなすという状況の中からのスタートでした。なので、事業投資に予算をかけられない、人が回せないという状況の中、動かしているクラブという前提はあるかなと思いますね。

平地 ありがとうございます。過去も含めてそういった状況で、それでもボンズさんがリソース不足、人材不足に対してやってきたことや、当時講じていた策などはあったんですかね。

西田 識学が入る前のこれまでの策としては、学生のインターン、近くにあった専門学校がスポンサーであったことから人材を派遣していただいたり、お借りしていました。部分的に業務を委託する、外注するというのはあったのですが、積極的に採用するというのはできていませんでした。私が参画してからも最初にやっていたのは、もうとにかく無料の媒体を使うだけという状況でした。

平地 なるほど、ありがとうございます。

今回、皆さんにご参加いただいて話をお伺いさせてもらうきっかけになったのは、PSIとアナザーワークスさんが構築した複業人材を活用してスポーツクラブの人材不足を補うスキームをご活用いただいたことでした。

プラスクラス・スポーツ・インキュベーション 平地

アナザーワークスさんがファイヤーボンズさんのスポンサーになり、ボンズさんはアナザーワークスさんの複業クラウドというサービスを活用して人材を登用していく。複業というところに目をつけて動いた結果、良い収穫があったという中で、事例として今回お話をお伺いしていますが、このスキームの話を西田さんが聞いた時の率直な反応やそこに対する感覚は当時どうだったのでしょうか。

西田 まず恥ずかしながら複業クラウドというサービスを私は存じ上げなかったので、どれぐらい反応があるんだろうとか、どういう効果があるんだろうというのは正直不透明というか、半信半疑の部分もありましたが、スキーム自体がまず我々にとってはすごくありがたい条件だったというところが前提としてありました。

あとは、常に新しいものを探されている会社という印象があったPSIさんからのご紹介だったので、これは間違いないという感じはしました。そこは私の直感としてすぐ「やります」とその場で回答した記憶があります。それぐらいピンと来たという感じです。あとは無料媒体以外のツールを使って人を集めるということをやっていなかったので、やはりそこはもうぜひやってみたいという思いでした。

複業業界の現状

平地 ありがとうございます。
今度はアナザーワークスさん側にもお伺いしていきます。

まずは大林さんにお伺いします。今回、複業×スポーツということでお話をさせていただいているものの、僕らの記事を見てくれている人たちも複業って結局実際にはどんなものなの?ということや、どれぐらいのマーケットなのかということもあるかと思うので、まずは複業業界について簡単にご説明いただけますでしょうか。

アナザーワークス大林氏(以下、大林) 前提として、我々が提唱している複業は、複数の「複」という字を使った複業です。今では日経でも当たり前に使われるような言葉になってきていますが、創業当初である2019年頃は、ほとんどメディアには使われていませんでした。今でも広辞苑には載っていない言葉です。しかし、創業当初からずっとこの言葉にこだわり続けてきました。

アナザーワークス 大林氏

副収入の「副」を使う副業は、金銭報酬を目的としているのに対し、それ以外の報酬も目的としているものが複業です。

金銭報酬を目的とした副業を否定しているわけではなく、他にも自分のキャリアアップにつなげたい、この地域に貢献したいというような経験報酬や感情報酬をも含めたものが複業だと定義しています。僕は大分県の田舎出身なのですが、大分のためであれば、お金など関係なく何か貢献したい、といった故郷に錦を飾りたいという想いがあります。今回のスポーツにもつながりますが、このスポーツチームのためなら自分も何か力を使いたい、還元したいという感情報酬もそうです。

全ての報酬を目的とした「複業」こそ、我々が目指すべきものであり、作っていきたい世界観です。複業の社会実装を目指すべく、日本最大級の複業マッチングプラットフォームを作ろうということで事業をスタートしました。

平地 ありがとうございます。ちょっと脱線しちゃうかもしれないですけど、僕らスポーツの世界でよく使う場面でいうと副キャプテンの「副」の方が本当によく使われていたなと思うんですけど、凄く違和感がありましたね。

まさに今おっしゃっていた「複業」の方が、僕は文字面的にもそれが意味する大儀も含めて、凄くしっくりくるなというのがありますね。複業クラウドの文字を見た時には、こっちの「複」を使っているんだ、めちゃめちゃセンスいいなと思いました。

西田 僕も最初に伺ったときになるほどと思いました。

平地 そうなんですよね。今説明をいただいてそういう思いで使っていると知ることができて、とても腹落ちしました。

大林 複業市場のお話をすると、非常に上向きです。これはコロナ禍の恩恵を我々は受けていていると考えています。これまで働き方というと、リアルな場で仕事をすることが今までの常識であったのに対し、コロナ禍によりオンラインで仕事をすることが当たり前になりました。これは複業と非常に相性が良いです。

地方企業や地方自治体は、都会の優秀な人材を気軽に採用することができるようになり、逆に東京の会社も、地方の優秀な人材をオンラインで気軽に採用できるようになりました。今では地方企業さんや30以上の地方自治体などの組織でも導入いただいています。キャリアにおいて、物理的な距離という壁がなくなり、複業市場は前向きでポジティブに見られています。

「複業×スポーツ」への想い

平地 今お話しいただいた市場感の中で、複業×スポーツということで今回お話をさせてもらっているんですけど、実際にスポーツの複業案件というのは、今回の取り組み以前から求人として取り扱いがあった状態だったのでしょうか。

大林 いくつかのスポーツチームとはすでに連携させていただいておりましたが、多くはありませんでした。複業クラウドは、メインとして民間企業様に提供しています。2022年5月時点では累計800社様ほどに導入いただいており、次に多く導入いただいているのが自治体様になります。我々の提唱する複数の「複」の字を使った「複業」を体現するには、民間企業以外にも、自治体やスポーツチームといった業種の幅を広げていくことが、意義のある取り組みだと感じています。

困っている自治体に、複業人材がいわゆるプロボノ、ボランティアで参画するんです。お金など関係なく、故郷に錦を飾るとか、そういった感情報酬を目的として参画いただく方が多いです。私はこれがスポーツでも同じことができると思っていました。私もずっと野球をやっていたので、スポーツをやっている人や好きな人は、やはりどこかで関わりたいという思いを持っているのではないかと思います。

ただ本業を持ち週5フルタイムで働いていると、転職をして一念発起するにはなかなか腰が重くなってしまうのではないでしょうか。そのため、これが叶えられる手段として複業がある、というのは前々から思っていました。

平地 うちの会社にもスポーツに関わりたいと転職してきた社員が何名かいますが、腰が重くなるというのは確かにそうだと思います。

大林 そこでスポーツ×複業の第一弾でご一緒させていただいたチームが、東京大学運動会アメリカンフットボール部の東京大学WARRIORSさん。第二弾は男子プロバスケットボールチームの横浜ビー・コルセアーズさんとやらせていただき、これが想像以上に多くのエントリーが集まりました。そこでいろいろなスポーツチームさんとも是非ご一緒していきたいと思い、PSIさんにご相談し我々とスポーツチームさんとをつなぐハブになっていただきました。

PSIさんにお願いした背景としては、お互いが信用できるところにハブになっていただくのが一番いいと思ったことです。そこから今、一気に拡大をしようと思っているところです。

平地 なるほど、ありがとうございます。やっぱり本当にスポーツクラブでの人の問題というのは、課題としてある中で、「複」の方の複業で参画いただけるというのはすごくいいなと思います。また、その後の採用につながる時にも、ミスマッチなどが起きにくいのではないかと思うので、この取り組みはいいだろうなと感じますね。

元々スポーツ業界で働きたい複業人材の方々が、アナザーワークスさんの複業クラウドの求職者の母集団の中にいるのか、いないのか、という不安や心配はなかったのですか。

大林 不安はなく、必ずいると思っていました。社会実験的に自治体様での導入からスタートし、第一弾は奈良県の三宅町という、日本で2番目に小さい町ではじめました。本当に三宅町と複業で関わりたい方がいるのかというところからスタートしたんですね。そして公募から2週間で100名を超えるエントリーがあったので、これはもう必ずニーズがあると感じました。

スポーツは誰しもが通ってきた道だと思います。僕は阪神タイガースが好きなのですが、いつか甲子園の阪神園芸でグラウンドの整備をしたいという夢があります(笑)そういう思いを持っている人は僕のほかにも多くいると思います。金もバスケットボールをやってきたので、その考えに共感してくれ、一緒にやってみようということで二人で走らせたのがスポーツ×複業です。

平地 今回金さんにはこの複業×スポーツをやっていこうということで、僕らや西田さんたちとご一緒させてもらっているんですけども、これを始めるときの考えや、この後どうなっていくのかなという思いもぜひお聞かせいただきたいなと思います。

アナザーワークス金氏(以下、金) ありがとうございます。複業クラウドに登録しているタレントは、2022年5月現在、累計で3万5000名を超えました。やはり我々が一番重要だと考えているアセットは、登録いただいている「複業人材」、弊社ではタレントとお呼びしています。

アナザーワークス 金氏

タレントさんにとっても、民間企業以外でも複業で関われる業種の幅が広がることは、選択肢の幅が広がるので大切です。そのため、スポーツドメインでの案件をさらに増やしていきたいという想いから、PSIさんと一緒にトライしてみました。

その最初の取り組みとして、今回福島ファイヤーボンズさんとの取り組みがありました。採用成功できるよう徹底的に伴走し、一つ一つ丁寧に求人を作ることで無事採用までこぎ着けることができたのは良かったです。

西田 本当にすぐに決まったので、ありがたい限りです。

募集開始まで

平地 僕も本当にすごいなと思っています。ただ、この複業という人材をどこのポストに入れていくかということをクラブさんとしても考えていかなきゃいけないのかなと思うんですけど、まず今回募集した職種をどういう判断で行うということを決められたのでしょうか。

西田 そうですね。さっきのお話でいうと、通常は後回しになってしまうところだけど、めちゃくちゃ大事なところだよねというのを複業人材で埋められたらいいのかなという思いがありました。

後回しになる部分というのはいろんなポイントがあるんですけど、まずはクラブを存続させていくためには、スポンサー営業をやらなきゃいけないとか、集客を増やさなければいけないということもあるので、そこは営業マンを欲しいというのはどのクラブでもパッと思いつくかと思うんです。

そこはもちろん重要なのですが、僕らは興行、つまりお客さんに来ていただいた試合が魅力的だったとか、居心地がよかった、また来たいと思っていただけるという質を上げていくと、我々がやっている集客施策が下支えされるという部分を優先的に取り組みたいと考えました。

平地 ここは間違いなく後々効いてきますからね。

西田 そうなんです。ここがザルだと新規のお客様が入ってきていただいてもどんどん抜けていってしまうので、ここをまずしっかり固めたいと思いました。だけど、ここってどうしてもトップラインの売上増加に直接貢献しないので、後回しになりがちなんですよね。結果的にそこを埋める人材が決まったというのはもう本当に良かったなと思います。そんな思いでしたね。

平地 今、西田さんがお話しいただいた人材を採用するにあたって、金さんたちの方で取り組まれたことや意識したことがあればお伺いできればと思います。

金 スポーツチームと民間企業との大きな違いは、興行があることだと思っています。ホームのアリーナでの試合があり、その興行場所にいないといけないため、全てがオンラインの複業人材で賄える仕事ではないということがまず前提としてありました。

そのため、民間企業とは違い、現地に赴いてくださる方へのニーズを最初に伺いました。僕らにとってもチャレンジングではありましたが、求人広告を作成し多くの方に求人を届けました。

FACEBOOK広告やINSTAGRAM広告でローカライゼーションすることで、東北の人たちに渡るように配信をしました。そうすることで、我々としても東北のタレントの登録が促進され、かつその求人に興味を持ってくれた方がエントリーしてくださります。結果的に公募開始して10日ほどで、現地に赴いていただける複業人材を採用することができました。

大林 求人作成は、我々もかなりこだわっている部分です。今まで民間企業だと累計800社、累計マッチング数35,000件以上のデータがあり、どういう属性の、どういうスキルを持っている人が、どういう求人タイトルで、どういうワードであれば、興味を持つのかがわかることを強みとしています。

また自治体案件でも、いかにエモーショナルな部分を訴求するかというところは、百戦錬磨でやり続けてきました。副収入という金銭報酬ではない部分で、いかに感情報酬や経験報酬を訴求できるかという部分ですね。

そのデータやノウハウは、今回福島ファイヤーボンズさんにも提供いたしました。スポーツ好きの素人的な発想と、データをうまく混ぜ合わせて、複業人材に響くタイトルを作った自負はあります。

西田 驚いたのは、面接・面談まで進まれてきた方で「神奈川です」とか、「週末3時間4時間の移動は全く問題ないです」という方もいたことです。

平地 そこは問題じゃないんだ。すごいですね。

どんな人材が集まってきたか

西田 結果的に僕らは二名の方に内定を出させていただいたのですが、一人は埼玉から週末に来て。もう一人は仙台の方。わりと近いですが、それでも新幹線での移動になります。そこのマインド、モチベーションが前提にある方をどうやってクリティカルに面接まで進まれたのだろうと、今裏側をお伺いしてわかりました。改めて感謝を申し上げたいですね。

平地 そういうことですね。今2名内定を出されたというお話がありましたが、ちなみに西田さん的にはどれぐらいの応募があればいいなとか、どれぐらい採用を出したいなというのは当初の計画であったのですか。

西田 1名決まればいいと思っていたのですが、瞬間的にエントリーがバッと来て、先ほど申し上げた通常の無料媒体の3〜4倍以上の、もう比ではないくらいの反応がいきなりありました。本当は1名と考えていたのですが、あまりにもいい人がいすぎて最終的に2名になりましたね。

平地 なるほど。素晴らしいですね。数値的なところも含めて、申し込みの状況やステップしていく上で何か他と違うスポーツならではということがもしあればお伺いできればと思います。

金 特別な見せ方は弊社でも意識して配信しました。複業クラウドにログインすると、特設求人エリアがあるのですが、その先頭に福島ファイヤーボンズさんのゲームオペレーターとウェブデザイナーの2職種の求人を出しました。

複業タレントからの反応はすごく良かったです。現地に赴くというところと、ウェブデザイナーという職種を掛け合わせると、エントリー集めるのは難しいと思っていました。しかし、その中でも30以上はエントリーが集まりました。数値を見ても反応が良いことはわかりましたね。

西田 3倍、4倍どころじゃないですね。1職種出しても月に応募が3人とかなので、そこから面接してもちょっと難しいとなりますよね。

大林 募集期間は2週間でしたよね?

金 そうですね、トータル公募期間は2週間で、ゲームオペレーターの採用に関しては10日間ほどで採用が決まりました。

平地 10日間で採用まで。それはすごいですよね。

金 決まって良かったと思いました。

西田 僕はそのスピード感で動きましたね。面接した方全員がスポーツへの想い、福島への想いがあると感じました。震災から10年、そもそも震災からできたクラブという背景もあったので、ストーリーへの共感があるから話が早いんですよね。他にもwebデザイナーの募集も出させていただいているのですが、そこでも複業クラウドさんだからこそと感じたことがありました。

東京などの特に人口の多いエリアでサーチすればデザインスキルがある方はたくさんいらっしゃると思うんです。ただクラブってブランディングがあって、例えばボンズだとフクシャパープルというちょっと独特な紫のチームカラーがあり、また地域特性もあります。クラブのそれぞれの事情とか思い、カラーがあるんですよね。スキルがある人に対して、それをぶつけても「いや、私の作りたいものと違う」ということが出てくる可能性がある。

そこの間を複業クラウドさんがマッチングしてくださっていると理解しています。そこのフィルターの精度がものすごく高いと思うんですよね。だから僕らも今回、またお願いするWebデザインの職種についても、本当にスキルはあるけど、「10人来て誰にする?」みたいなことじゃなくて、多分もう少し精度の高い状態からスタートできると思っています。

金 福島ファイヤーボンズさんの特設サイト弊社で作成し、西田社長や球団の思いを記載しました。エントリーする方は、その思いを見ておられますね。そのため共感値の高い方々からのエントリーが多いと感じます。

マッチングしたときにメッセージを送ることができるのですが、そういう方々はメッセージにも熱い想いを書かれています。今回であればバスケットボールへや福島への想い、自治体案件では「今は東京にいるけど、故郷に恩返しをしたい」という内容を送ってくださる方が多く、良いご縁を結べているのかなと思います。

平地 素晴らしいですね。それにしても、10日で採用までは本当にすごい。

金 僕も聞いた時はびっくりする程のスピード採用でした。

平地 西田さんたちの判断自体が早かったんですか?

西田 それはそうだと思いますね。

平地 それも素晴らしいですよね。

西田 たくさんご応募いただいたので、次はもっといい人じゃないかっていう心理も働きますよね。ただ、きちんと見させていただいた上で、ピンと来た人と一緒にやりたいという想いがありました。あとは、識学社として適性検査のようなものを持っているので、それも良かったかもしれません。

金 識学さまの採用担当の方をおつなぎいただいたのですが、システマチックにきちんと採用までのロールアウトを設計されていることが印象的です。

平地 仕組み化されていますしね。

西田 そこに複業クラウドさんから入ってきた人が、識学のプラットフォームに一回のせてあとはフローに沿って進めていくので、僕らまで来るのも早いし、僕が決定したらあとはもう進んでいくというかたちでした。

金 契約後、契約書面はどうすればよいかというお問い合わせをいただくこともあるのですが、全くなく、スムーズに採用されていましたね。

平地 先ほど一番始めの方に大林さんにお話しいただいた求人の磨き込みが、さっきのメッセージや想いをちゃんとそこに反映されていて、やっぱりそれを読んでくれたモチベーションの高い人が応募してくれているから、そもそもベースのいい人たちが集まっているということですよね。

自社で行っていた募集との違い

平地 そういう40人のエントリーの中から、採用を進めていくっていうところで、多分書類選考なども含めてすごく普段の採用活動とは全然違う進みだったんじゃないかなと感じます。西田さんのそこの感覚、感じたことを改めてお伺いできればと思います。

西田 他の企業さんが利用される場合はどうか分からないのですが、僕らは複業クラウドさんからエントリーいただいた方に、もう一度履歴書と職務経歴書も求めました。それって条件としてはおそらく少し重ためなのかもしれないのですが、でもそれをやってくれた人って多分もっと磨かれたというか、本当の思いだなと感じました。

求人を出していただいた方にとっては面倒だったかもしれないですが、それをやらせていただいたので、我々としては通常の求人と同じ書類をちゃんと手元に残す状態にしたので、その内容がものすごく濃かったです。濃かったというのは、いろんな経験をされた方というのは、今までのベースの人と全く違う、グッと広がったという感じでした。

例えば、大手でスポーツの最前線で今スタジアムを作っていますという会社の方だったり、金融系で働いていて趣味としてコーチライセンスは一番下の階級だけ持っているけど、スポーツに何か携わっていきたいという方だったり、出身が福島だという方もいらっしゃったり。本当に多種多様な方で、かつスポーツへの思いや福島への思いをしっかりと持っている方々だったので、そこが圧倒的に違ったと感じました。

平地 やっぱりそこは複業人材っていうところの最大のメリットな気がしますよね。

西田 本当にそうだと思いますね。本業としてすでにものすごくご活躍されているんだけども、プラスアルファでスポーツに携わりたいという方たちなので、そこはもう圧倒的に違うと思います。

平地 そういう人たちを集められるというのは、素晴らしい。本当に複業クラウドさんのタレントさんの質の良さというところが、ひとえに言えるのかなと思います。

大林、金 ありがとうございます。

西田 あと一つ驚いたというかいつもと違う感覚だなと思ったのが、皆さんの話が面白すぎたことです。「面接させていただきます」と僕も臨むんですけど、皆さん何かのエキスパートとして最前線で活躍されているので、面接のつもりが勉強会みたいになってしまうんです。めちゃくちゃ盛り上がって色々と情報交換させてもらって終わるというのが多かったですね。自己紹介をお願いします、というような面接は誰ともしていないです。

平地 普通の採用とは全く違いますね。

西田 特にそこがまず全然、違いましたね。

平地 実際はどうなんでしょうか?他の企業さんなどでもそういう反応になるんですか?

大林 そうですね。「いい人材がいますね」と非常に高い評価をいただくことが多いですね。ただ、民間企業とスポーツチームとで大きく違うところは、ファンの多さです。

「このサービスが大好きなので、この企業で複業したい」という、企業に対しても感情報酬を目的としている方ももちろんいます。ただ、スポーツチームほど多くはないと、肌感覚ですが感じております。

感情報酬の部分がメインの複業は、まさに求めていたところです。いい意味でファンの目線で、そして民間の目線でいろいろとアイデアを出してもらえるはずです。既存の仕事で培ったスキルを持っている方々なので、その化学反応を楽しんでいただけるのではないかという仮説が、今確信に変わっています。

応募者の方のモチベーション

平地 おもしろいですね。実際はさっきの話で言うと、神奈川の方から応募があり、面接もされたということですよね。

西田 しました。本当に日本中いろんなところから応募をいただいてありがたいです。

平地 福島に土日で行くのも全然問題ないというのはすごいじゃないですか。そのモチベーションは何なんですかね。それはちょっとなぜなのかぜひ聞きたいなと思いますね。

西田 Bリーグ全体が盛り上がってきているっていうのは、その方も認識していました。その盛り上がっているBリーグで、僕らはまだB2ですけど、スポーツの生の現場にスタッフとして立つ機会ってなかなか得られるものじゃないというような表現をされていました。

平地 そうですね。確かにそれはそうですよね。

西田 それを複業として内側でできるというのは、自分のキャリアにとってもすごくプラスだっていうことをおっしゃっていましたね。

平地 神奈川から毎回そこに行ったとしても、自分のキャリアとしてはそれ以上のメリットがあるということですよね。

大林 自治体でもよくある話ですね。例えばDXや広報という職種は、オンラインでは完結しない領域もあるので、「交通費は出なくても行かせてほしい」という方が非常に多いです。自分のキャリアの一部になるというのはまさしくその通りで、普通に生活していて繋がれる領域ではないので。

平地 本当にそうですよね。

大林 そこが複業クラウドが繋ぐ価値だと感じます。実績を積めば、普通の人は持つことができないようなトラックレコードとして、生涯履歴書に書けるキャリアになるので、経験報酬を目的としている方々も多くいると思います。

平地 おもしろいですね。今回結果も出てすごくよかったかなというところで、取り組みとして、事例として表に出していきたいなという風に思っている中で、これを出したことによって、きっともっといろんなクラブさんが複業というものの活用に対して興味を持ってもらえるなと思っています。

他クラブからの反応

平地 福島さんとの取り組みに関してはプレスリリースを皆さんと一緒に出させていただきましたし、その前にはビーコルさんが初めにお取り組みをされていたとお話しをいただきました。実施にはアナザーワークスさんの方にもタレントさん側の反響ではなくて、他のクラブさんからの反響というのはあったんですかね。

金 もちろん反響はありました。リリースを出した直後に別のスポーツチーム様から、お問い合わせをいただきました。また、バスケットボールに限らず、サッカーやバレーなどさまざまな種類のスポーツクラブ様から、以前よりもはるかに多くのお問い合わせをいただくようになりました。

「複業というものに一回チャレンジしてみたい」という声もありました。人にはやはり困っており、地方で正社員を採用することが難しい中で、業務委託で複業人材という選択肢を検討してみたいというお問い合わせが増えましたね。

平地 プラットフォーム上にスポーツに関わる案件があると、また複業クラウドさんの方にも新しいタレントさんの層が集まってくるということですよね。それは複業クラウドさん、アナザーワークスさん的にもすごくメリットがあるということですよね。

金 おっしゃる通りです。

大林 我々は、2022年5月現在、すでに36自治体と連携しているので、その相乗効果もあるかなと思っています。

平地 なるほど。おもしろいな、素晴らしい。非常によい取り組みですよね。

「複業×スポーツ」の今後の展望

平地 大きな質問としては最後ですが、ボンズさんは今後の複業の取り組みに関しては、どういう風になっていきそうですか。複業の活用を今後クラブとしてもっと活用していこうというような方針はありますか。

西田 今回お話しさせていただいたような複業人材の活用の取り組みは、地方のスポーツクラブにおいては、必ずニーズがあるだろうなというのは確信しています。弊社としても引き続き利用させていただきたいなと思っていますし、他のクラブへの横展開も間違いなくあるだろうなと思いますね。

今回複業クラウドを利用させていただいて採用につながった方が、業務委託で週末プラスオンラインで平日数時間という契約だったんですけど、来シーズンから転職して弊社の社員になるということが内定しています。

平地 素晴らしい!

西田 そういった事例になったということが、会社としてはすごく大きいです。もう一人の方も引き続きゲームオペレーションの方をサポートしていきたいと言っていただいています。Webデザイナーの方の募集も優先順位としては二番目だったのですが、今回また一人増やしたいなという希望もあって相談させていただいている最中で、引き続き活用していきたいという思っています。

平地 ありがとうございます。続いてはアナザーワークスさんのお二方それぞれにお話を伺いたいなと思うんですけど、複業×スポーツという取り組みは今後どうなっていきそうだ。また、どうしていきたいということも含めてお伺いできればと思います。まず大林さんから。

大林 複業の社会実装を実現することが、我々が存在している意義であり、社員一同成し遂げていかないといけない部分ではあるので、そこがまずは一番の目的です。

ただ、それを民間企業だけではなく、自治体やスポーツ、教育機関にもさらに広げていきたいです。いろいろな分野でドメインを広げることが、複業の社会実装につながると信じています。

その中でも、スポーツに関しては競技の数だけやりたいと思っています。スポーツは必ず複業人材の力が発揮できる分野です。チームが求めているスキルや経験、知見を持っています。そして複業人材にとっても、選択肢の幅を広がり、挑戦機会を最大化できるよう、注力していきます。

平地 金さんもお願いします。

金 スポーツで複業人材登用を推進する中で、スポーツチーム様で困っていることが、僕も少しずつ分かるようになってきました。複業人材の方々が応援していたり所属していたりするスポーツはたくさんあり、中にはマイナーなスポーツも含まれると思います。

様々なスポーツチームが抱える課題の中に、やはり「人」があります。そこを複業という選択肢を用いることで、一つ一つ解決できるのではないかと、今回の福島ファイヤーボンズ様との取り組みで自信を深めることができました。

今後も、全てのスポーツドメインの中の異なる課題と、スポーツチームに貢献したいと思う複業タレントとを結びつけることで、一緒に解決していきたいと思います。

平地 ありがとうございます。素晴らしいコメントを皆さんにいただきました。複業全体のお話もお伺いできましたし、やっぱり複業×スポーツの可能性ですよね。すごくあるなと感じました。ポジティブな結果が出たというところを西田さんからもぜひいろいろなクラブさんにお話しいただけるとありがたいなと思います。

スポーツチーム、スポーツクラブの事業を伸ばしていくときに、やっぱり「人」っていう課題は必ず付いてくるかなと思います。そこに複業の人材を入れていくことで、業界をより良くしていけるといいなと僕も思っていますので、これからも皆さんの取り組みもチェックしていきたいなと思います。

本日は素晴らしいお話をいただきました。本当にありがとうございました。

一同 ありがとうございました。

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ゲスト紹介

福島ファイヤーボンズ 西田氏

アナザーワークス 大林氏

アナザーワークス 金氏

インタビュアー紹介 平地大樹

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