スポンサー”枠”に囚われないこれからのスポンサーセールス(クラブのセールス)のあり方(後編)
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スポンサー”枠”に囚われないこれからのスポンサーセールス(クラブのセールス)のあり方(後編)

スポンサーセールスのアップデートにPSIがどう寄与できるか?僕らにとっても今後の企業成長における命題について前編後編に渡って書かせてもらっています。今後日本のスポーツビジネスがより大きな市場になっていくためにも必要なことを日々思考してきました。まず、前編をまだ読んでない!という方はこちらからご覧ください

前編では僕がアップデートのポイントと考える以下の内容から1と2について書かせてもらいました。

1. スポンサーに ”なれば” 実利に繋がるような仕組み(メリット追加)を作る。
2. ライツを売る。アクティベーションも売る。
3. スポンサー企業にスポンサー活用法を啓蒙し、より良いパートナー契約を結ぶ。
4. スポンサーという枠に囚われない。企業として、クラブの売上を上げる。

ということで、今回の後編では3と4について書いていきたいと思います。今回もそこそこの文章量になってます(苦笑)が、お付き合いください。

3. スポンサー企業にも現状を理解しておいてもらいたい

前編ではクラブに向き合ってきた中で感じた課題感やその対策案などを中心に書いてきましたが、課題があるのはクラブだけではありません。スポンサーになる企業、スポンサーを検討する企業もスポンサーというモノへの向き合い方/理解にアップデートが必要だと感じています

地元クラブを応援する。
出身地のクラブを応援する。

これらは素晴らしい取り組みだと思いますし、有り難い心意気だと思います。ただ、この「応援する」というワードが今の状況を生み出している、と言っても過言ではないと感じています。お布施、タニマチといった文化が歴史的に根強い日本だからこそ、この考え方が色濃いという説もあろうかと思います。

スポンサーの目的が地元クラブの応援=地元貢献であれば企業的にはCSR文脈の費用となるかと思います。もしくは福利厚生でしょうか。企業として重要な取り組みではありつつも、どちらかと言えばコスト寄りの概念で、常に増加し続ける予算ではありません

そういった文脈でスポンサーしている企業と話してみると、アクティベーションという概念は基本持っておらず、スポンサーの権益を活用して何か儲けよう!という意識そのものがないことがほとんどです。何度でも言いますが、これは本当に有り難い限りで、ダメなことではありません。ただちょっと将来性もないかな、と懸念しています。

「応援してください!」から「投資したい!」へ

何度でも伝えますが、今のままじゃダメだ!と言うつもりはサラサラありません。が、日本のスポーツビジネスにおいてスポンサーセールスをアップデートしていくために必要なことを実行していきたく、そのために何が必要か?を提言しているつもりです。

『スポーツにスポンサーしたら自社の課題が解決できた!』こうなるには、提案の仕方を変えていく必要があります。「応援してください!」への回答としては「応援しましょう!」でしかなく、どこまでコストとしての費用が出せるか?という議論になります。「宣伝のために!」への回答としては「メディア価値はどれくらい?」になります。

現在のコロナ禍では集客も5,000人上限があり、会場でスポンサーロゴが目にされる機会は大幅に減りました。そして、テレビでプロ野球の放送がなくなり、プロサッカーの放送はDAZNのみとなり、プロバスケもバスケットLIVEに集約され、月額費用を支払っている一定のファン(固定化の懸念もあり)にしか試合という最大のコンテンツは届かなくなってしまいました。なんとか映像の権利を買って放送してくれていた地方局もコロナ禍における不景気でCMニーズが減り、経済的に厳しくこれから統廃合も進むのでは?と予想される中で露出が期待できるマスメディアは減る(弱まる)一方です。

その一方でSNSが台頭し、可処分時間は一気にSNSに傾きました。普段の皆さんの生活を考えても理解に苦しくはないと思います。と往々にして言われますが、東京ではないエリア、特に地方と言われるエリアでもSNSはそんなに利用が活発なのでしょうか?Twitterの話をしても、Instagramのストーリーズの話をしても、ピンときてない顔をされることが少なくありません。東京近郊以外では、皆やはりテレビを観ることが多いんです。いまだに。

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なかなかメディア価値も効果として出しづらくなっていく中で、スポンサーメリットはどこを推しどころにしていけば良いのか?より強烈な納得パンチが必要です。やはりそれは、実利に繋がる、がポイントじゃないでしょうか。

・売り上げが上がる
・従業員満足度が上がる
・良い人材が採用できる
・節税になる(イメージ湧きづらいと思いますが結構重要)

などなど、特にコロナ禍における売り上げ不振や働き手流出のような地方課題の解決をクラブが担っていければ今後も『スポンサーしたい!』という企業が増え続けていくはずです。『スポンサーをしてください!』という営業ではなく。

良い株は皆がこぞって買いますよね。投資価値があるから。ゆくゆくリターンを期待できるから。そういった投資先としてスポーツチームが選ばれる、というアプローチもあると思います。投資価値があるのなら、あとはスポンサーセールスの役割としては企業の課題を解決するためにその価値をどう活かしますか?という提案に終始できます。それが僕が求めるスポンサーセールスの未来形です。

さぁ、スポンサー権利を活用しよう!

前段がずいぶんと長くなってしまいました。前述した内容が満たされてきた時、ようやっと本題が語れる舞台が整います。CSR的な文脈やオーナーの思い入れではなく、投資対象としてスポンサーを考えると、そこからどうリターンを得るか?という話に当然なってきます。

スポンサーのリターンは設計次第で大いに得られます。僕個人としては、クラブとしてパートナーズシップを導入いただき、スポンサー同士のマッチングが促進されればスポンサーになるだけで投資対効果は得られます。シンプルです。が、そこは前編でお話したのでこれくらいで。しつこいw

まずスポンサー企業として用意しておくべき大切なポイントは、「自社の課題がなんなのか?」ということへの理解です。これはクラブ側としても非常に重要なポイントですが、「応援してください!」というセールストークにはここの話題が出てきにくいです。課題への理解、認識がなければスポーツを活用しようがしまいが課題の解決は難しいです。なので、スポンサー企業としても、明確に自社の課題感を理解し、言語化できていることが重要です

そして、この課題に対する解決方法ですね、これを企業としては考えておくか、クラブと一緒に議論(提案があった上で)できると良いかな、と思っています。「スポーツを活用してその課題の解決ができる方法」を検討する、ということです。どんな企業にも課題はあるはずです。前述した通り、

スポンサーは、
売上にも繋がりますし、
採用にも効果的ですし、
認知度を上げたり、
差別化ポイントを作ったり、
設計に手を抜かなければ効果が得られます。

例えば、脱毛サロン(仮:プラスクラスクリニック)がバスケチームにスポンサーする時に、

・当日の配布物にロゴが載る
・ウェブサイトにプラスクラスクリニックのロゴが載る
・試合前にビジョンにCMが流れる
・コート周りのボードかLEDにロゴが流れる
・ハーフタイムにロゴボードをチアが掲げる
・当日の配布物にロゴが載る

といったアクティベーション内容で脱毛サロンのお客さんは増えるでしょうか?目的が集客なら、もっと工夫すべきです。簡単にアップデートすると、

・女性ファンが多いチームか近隣店舗があるチームをスポンサー対象とする
・当日会場でチアから初回お試しクーポンを配る
 └配れた枚数を確認
 └来店した枚数を確認
 └初回お試しから引き上がった顧客を確認
・上記のクーポンをSNSで告知してもらう

のようなやり方も考えられます。もう少しロングスパンでチアに協力してもらうようなプランも検討できるかと思います。チアに来店してもらい、体験してもらって、を映像か画像でSNSなどで展開するなど。もうちょっと考えて、どうすればスポンサーのサービスがより世の中に伝わるか?最低でもファンやサポーターの間には知ってもらえるか?を考えて設計したいものです。

上記はどれもスポンサー権益として契約時に実施すること自体を契約できていれば実現可能性は非常に高いです。なので、そもそもこうしたプランニングをするか、していいか、しようとするか、がポイントになります。地元クラブを応援しているだけで “自然と“ 来店数が伸びる、は現実的ではありません。ただでも上記の例のような悩み系や美容系のサービスはインターネットで比較もされやすく、軽い気持ちで行きにくい、という傾向があるため、後押しとなるようなキッカケ作りが大事になります。それがスポーツの会場で、というのは僕は大アリだと考えます。駅前でどこの誰か知らない人からどこの店かも知らない案内をされるより、テンションが高い状態でいるファンやサポーターにとっては、応援するチームを支えるスポンサーからの提案や紹介なのですから

モチベーションの高い顧客へアタック

スポーツのスポンサーシップの強みとも言えるひとつに『モチベーションの高いHOTなお客さんが多い』ということが挙げられます。アピール先がファンである、ということもひとつです。インターネットで応援することも増えましたが、会場という、いるだけでテンションも上がっている状態にあり、応援しているチームを支援している企業に、ファンやサポーターから感謝の言葉が掲示されることもしばしば。ファン同士やサポーター同士で号令をかけてサービスが活用されるようなシーン、ダウンロードされるようなシーンをたくさん目の当たりにしてきました

未だにメールの開封率が高い業界だと言われることも上記に近く、好きなチームからのメールは基本開くのでしょう。メールの件名が選手名などだとより高い確率で開封される現象を目にしてきました。とにかく、業界平均よりも軒並み数値が高いのが特徴です。基本、ポジティブなお客さんがチームの向こう側には多い、ということです。そのターゲットを見て、どうプロモーションすると刺さるか?反応がたくさんもらえるか?これをプランニングすることが重要です。

4. クラブの営業はスポンサーを売るためだけの存在か?

スポンサー営業、スポンサーセールス、その本質が何か改めて確認したいと思います。スポンサーがメイン商材であることは変わらないと思います。ただ、それだけを売らないといけないのか?それは違うと思います。にも関わらず、顧客の課題解決にフィットしないスポンサー枠を売らないといけない...と自分の役割に囚われていることがしばしば。

企業としては、売上が上がれば良いはず。いずれスポンサーになってくれるかも、と割り切って、今向き合っている顧客の課題解決に貢献してみてはどうでしょうか?そこに工数や工夫が必要であればそれ相応の費用をいただけば良い。それは売上になり、未来にもつながる。もちろん、未来に繋ぐ行動を起こせば、の話ですが。いきなり必ずスポンサーになってもらわなければならない理由はないはずです。顧客のニーズに向き合う、理想論かもしれませんが、これが結局大切です。

スポンサーの枠だけを売るのはなんとも難しい。いわゆるプロダクトアウトだからです。もっとマーケットインであり、顧客の課題解決ファーストなクラブはもっと必要とされる局面が増えるはず。そう信じてやみません。カタログのような広告枠の案内だけがなされている提案書(ではない)を渡して上から順に説明するのはやめましょう。もちろん全ての人がそうでないと信じてますが。

コラボ商品を作ってみても良い。ライセンスのみを販売しても良い。新たな収益軸としてD2Cの立ち上げも良い。コンテンツの制作だけでも良い。他社と業務提携して、ホットな顧客やお客様に向けてソリューションを提供し始めても良い。なんならスポーツだけに囚われる必要もありません。スポーツチームが抱えるファンの属性から、健康という側面、旅行という側面、飲食という側面、アートという側面、地域振興という側面、SDGs的な側面、などとマネタイズの切り口は様々あります。

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だから、大切なことを忘れないで欲しいです。とにかくポジティブな空気にまとわれた顧客がスポーツチームの周りにはいることを。その活用(と言ったら失礼か)でどれだけ効果的なマーケティング活動ができるか。売上などの、今企業が求める経営的な指標への効果が得られるか。さぁ、まずは企業の課題を一緒に解決できそうなクラブが国内・国外含めて、どこにいるのか探してみましょう!スポンサーには可能性しかない!その可能性をセールスし、チームそしてクラブを支える大きな原資を創ってくれているのがスポンサーセールスです。この面白くも魅力的な仕事を楽しめるよう、どんどんアップデートしていきましょう!

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PSIはスポーツのマーケティング・クリエイティブエージェンシーです。主にデジタルマーケティングを活用して、集客のお手伝いをしたり、デザインや映像の力でスポーツの魅力をもっと引き出したりして皆さんに届けています。