【前編】楽天のスポンサーシップのポイントは『好意度』認知度の先のフェーズにある楽天グループのスポンサー活用術
スポーツビジネスをより身近に感じていただくために、プラスクラス・スポーツ・インキュベーション(以下PSI)代表の平地が各界のキーマンにインタビューをさせていただく本企画。
第6回となる今回は、楽天グループ株式会社の細田真萌 氏(以下、細田)にお話いただき、スポンサーシップの考え方や東北楽天ゴールデンイーグルスとの具体的なスポンサーシップの事例について大いに語っていただきました。
前編では、細田さんのプロフィールやスポンサーシップへの考え方、東北楽天イーグルスとのスポンサーシップについてお話いただきます。
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はじめに(細田さんの自己紹介)
PSI 平地大樹 (以下、平地)まず、細田さんについてお伺いしていきたいので、現在の職務、役割をご説明いただいてもいいですか?
細田 楽天グループ株式会社のマーケティングディビジョン、全社のマーケティング・ブランディングを担う部署にいます。その中にグローバルマーケティング&スポーツパートナーシップ戦略部という部署があり、特に国内で楽天グループが運営している東北楽天ゴールデンイーグルスやヴィッセル神戸といったスポーツチームや、スポンサーをさせていただいている楽天ジャパンオープンなどのスポーツイベント、また、東京フィルハーモニーオーケストラやキネコ国際映画祭というエンターテインメントコンテンツへのスポンサーシップを活用するチームでマーケティング・ブランディング戦略の立案を担当しています。
平地 ありがとうございます。ちなみに今は色々なコンテンツをお伝えいただいたんですが、細田さんが具体的に担当されているところはありますか。
細田 メインでは東北楽天ゴールデンイーグルスと楽天ジャパンオープンを担当しています。
平地 誰もが知ってるコンテンツですね!
では、本日はそういったところでの事例などお伺いできればと思っております。2019年に楽天グループ株式会社に入社されて、そこでスポーツビジネスに関わるという形になってきたのかなと思うのですが、それ以前のお仕事や楽天さんに入社された経緯をお伺いできますか。
細田 はい。たいしたキャリアではないですが、大学時代は筑波大学の体育専門学群というところでスポーツについて広く学んでおりまして、そのなかでも特にスポーツマネジメントやスポーツマーケティングを専門とするゼミに所属していました。
もともと大学に入るときには、文科省やスポーツ庁に入りたいと思っていて、国家試験の勉強は自分でしつつも、スポーツの勉強もしたいと思って、筑波大学に入ったんです。
大学で勉強するなかで、今後スポーツを持続可能にしていくためには、スポーツ自身が事業として自立し、きちんとお金を作ることが必要だと思い、官公庁というよりは事業会社にまずは入ろうかなと考えました。
そのなかでもやりたいことを突き詰めていくと、自分がスポーツでやりたいことは、何か人にきっかけを与えるようなことだなと気づきました。
自分自身の経験としては、ずっとやっていた陸上競技を通じて、自分に自信が持てたりと、いろいろなところに一歩踏み出すきっかけになったりしたのですが、スポーツ以外でもそれはできるし、自分のキャリアとしても最初からスポーツでなくても良いなと思いました。社会人として力をつけてから、10年後ぐらいにスポーツに関われたらなという考えに就活中になり、スポーツの事業は持っているけれども、より自分が本質的にやりたいことに近しい仕事、かつ何か将来役立つスキルが身につく環境が良いなと思って、新卒で朝日新聞社に入社しました。結果、朝日新聞社のデジタル事業を担うデジタル・イノベーション本部に配属され、社会人のキャリアとしてはwebマーケターとしてキャリアをスタートしたという形になります。
平地 なるほど。元webマーケターなんですね。
細田 実はそうなんです。
平地 別軸で親近感がわきました(笑)
朝日新聞
細田 最初、スポーツとは関係のない朝日新聞デジタルという、朝日新聞のニュースサイトのマーケティングを担当していましたが、やはりスポーツの仕事がしたくなりまして、部署で色々な先輩に相談していたら、「高校野球やるか?」と声をかけてもらい、バーチャル高校野球という夏の高校野球をインターネット中継するサービスのマーケティングとプロモーションを担当させてもらえることになりました。それがスポーツのキャリアのスタートとなりました。
平地 ありがとうございます。よくある話にはなりますが、スポーツ業界に新卒で行くか、行かないか問題ってあるじゃないですか。細田さんは朝日新聞に入ってみてよかったのか、それとは別に最初からスポーツ業界でもよかったのかみたいな話とか、その辺のお考えってありますか。
細田 そうですね。結果論なので正直これが正解とも思わないですが、朝日新聞の時にある程度のベースのマーケティングのスキルが身についたのはよかったかなと思っていて、楽天に入ってからもwebの知識を役立てることができました。
これはよくスポーツ業界の仲間とも話すのですが、スポーツの仕事って本当に色々なスキルが求められるので、ジョブディスクリプションが非常に複雑じゃないですか。スポンサーシップアクティベーションも、オンラインとオフラインどちらもやらないといけないですし、色々なことのマネジメントもしなくてはいけないので、「一体これってなんの仕事なんだろうな」ってたまに思うことがあります。
逆にこれがスポーツ産業で働いた強みになり得ると今は思っているんですが、もともとスポーツに関連することに対して、自分なりの軸がないまま入ると嵐の中でもまれて終わってしまう、みたいなことはあり得ると思っていて、私自身は、人との出会いも含めて最初に朝日新聞に入ったことはよかったと思っています。
平地 なるほど。バーチャル高校野球も非常におもしろいコンテンツであり、取り組みだと思うのですが、その後、朝日新聞の中でもオリンピック・パラリンピック(以下、オリパラ)っていうところに関わっていくことでキャリアを築かれていると思います。その部分でいうと、マーケターからアクティベーション担当に役割もシフトしていったようですが、その点で何か変化や気づきはありましたか?
細田 それでいうと朝日新聞のアクティベーションは、ややB to Bに特化したところがありました。朝日新聞の基幹事業の一つに元々は紙の新聞の広告枠などを売る“広告事業”があります。いまは紙の広告面を売るだけじゃなくて、デジタルの企画を作ったり、イベント制作をしたりマルチメディアでのソリューション提供をしているのですが、その広告事業の一環としてうまくオリパラのアセットを活用するということが多かったです。朝日新聞もスポンサーなのですが、同じオリパラのスポンサーであるクライアントのイベント制作などをすることがメインでした。
平地 なるほど、おもしろい。
細田 ただスポンサーするだけじゃなくて、協賛費以上の売り上げをあげることが至上命題だったので、スポンサーシップの活用方法として、to C向けに何かキャンペーンを打つよりも、to Bの広告売上につながるような活用をしていくのがメインだったというのは面白かったですね。良い意味でスポンサーシップの使い道の優先度がはっきり決まっていたかなという印象です。
平地 ありがとうございます。そんなご経験もあって、楽天に入ってスポンサーシップを活用して、どちらかというとto C向きが非常に多いのかなと思うんですが、to C向けの取り組みをやっていこうということで楽天に入られた、という経緯ですかね。
細田 そうですね。バーチャル高校野球そのものが面白いサービスでしたし、朝日新聞だけではなくて、グループ会社の朝日放送さんともご一緒させていただいて、高校野球を楽しめるシーンを増やしていくということ自体はすごく面白く、やりがいもありました。
けれども、それをどう朝日新聞のビジネスそのものにつなげるかとか、主催者の立場として高校野球の未来をどうデザインするかを考えることはものすごく難しいなと思いました。高校野球という歴史あるコンテンツをどう未来につないでいくべきなのかを考えていると、自分にそこを考える力が足りないなと感じるようになりました。スポーツを違う捉え方でみていたなかで、自分の考え方も磨いたほう方がいいんじゃないかと、バーチャル高校野球を担当しているときから思っていました。
バーチャル高校野球とは違うスポーツとの関わり方として、当時の部長が私のキャリアを考えてオリパラの部署に異動させてくださり、経験を積ませていただきました。それでもやっぱりスポンサーシップを通じて、色々なスポーツの使い方を、より模索したいなという思いがありました。
楽天は70以上のサービスがあって、それぞれビジネスの段階も違いますし、スポーツで貢献できることも違うなと考えると、千本ノックじゃないですけど、70以上のサービスそれぞれに、どうスポンサーシップを活用できるかってことを考えることは、自分のキャリアにとってもやりがいがあるんじゃないかなと考え、楽天へ転職しました。
楽天
平地 なるほど。今おっしゃっていただいたところ、まさにお伺いしたかったところではあるのですが、スポーツ業界で働きたいみたいな人たちも、結構僕の周りにはいて、この記事自体もそういった方々に読まれていて、今回の細田さんの出会いに関しては、お誘いをいただけて、転職の検討ができた、という経緯だったんですか?
細田 そうですね。常日頃、自分たちの仕事を抜きに、スポーツを今後どうしていったらいいかみたいなことを熱く語れる諸先輩方がいまして、その人達が「もしかしたらキャリアの変わり目じゃないか」と感じ取ってくれて、相談に乗ってくれました。
平地 なるほど。
先ほどもちょっとお伺いしたスポーツビジネス若手会みたいな話であるとか、楽天グループのお仕事以外の部分でも、ものすごく精力的に活動されているなと感じてます。加えて、学問の部分の取り組みについてもちょっとお伺いさせてもらえればなと思います。
また、実際この2020年以降いろいろ取り組みされているかなと思いますが、どのようなことをされてきたのかもご紹介いただいてもいいですか?
細田 はい。学術的なバックグラウンドでいうと、2019年に当時慶應義塾大学大学院のシステムデザインマネジメント研究科で実施されていたSports X Leaders Programというところで、システムデザインマネジメントの考え方を学びました。通ったきっかけとしては、私がずっと尊敬して背中を追いかけているJFAの大先輩がもともと一期生として通われていて、紹介してくれたのがきっかけです。
朝日新聞が主催者として高校野球のビジネスをどうしていくと良いのかを考えたときに、一応自分なりにステークホルダーを洗い出して関係性を考えてはみたものの、ステークホルダーをマネジメントをするにあたって、今の自分の能力だと全然足りないなと思うことがありました。
その時にちょうど先輩から紹介されたのが、スポーツ界の課題を構造として捉えて、システムとして解決していくという考え方を学べるSports X Leaders Programでした。キャリアの変わり目に、こういったひとつひとつ強い武器を手に入れるのは重要かなと思い、通おうと決めました。
実際に入ってみるととても面白くて、今はそのプログラムの運営主体を「一般社団法人Sports X Initiative(SXI)」に移して実施しているのですが、SXIにはプログラムの運営やコミュニティ運営を中心に、理事としても関わらせてもらっています。スポーツに色々な関わり方をしているSXIの仲間たちとは常日頃、幅広い議論をさせてもらっていて、これが毎回毎回、勉強になっています。
一方で、大学時代の学びが頭に残っていて、スポーツは文化であり、なぜスポーツをプロモーションしないといけないのかということの答えを自分の中に明確に持っていないことが、自分の中で引っかかっていました。私もスポーツは大好きで、価値のあるものだと思いますが、一方で色々な課題があることも事実で、本当にスポーツが世の中にとっていいものなのかと悩むこともあります。自分がやろうとしているスポンサーシップというのは、スポーツチームが生み出した価値を活用する仕事なわけですが、そもそもそれってなんぞやみたいなところがありました。
本当にスポーツというものを解像度高く捉えたときに、自分がやるべきことって本当にこれなのかな、という迷いが生じていたなかで、一歩引いた目線で考えたいなと思い、去年から筑波大学の社会人大学院に通って、スポーツを社会学の観点から研究しています。
平地 すごいですね。取り組んでいる内容に対して色々な課題感があると思うんですけど、その課題感を解決していこうと色々な情報であるとか、知識みたいなところをインプットしていくその前向きな取り組み方っていうのは、どこから生まれているんですか。
細田 えー、難しい質問ですね。
平地 これって素晴らしい取り組みだと思っていて、ビジネスパーソンとしてめちゃくちゃ重要なのってインプットとアウトプットの連続だと僕は思っているのですが、日々の仕事に向き合っていると忙しくて、インプットがおろそかになって、でもインプットしていないからアウトプットが難しいみたいな問題があると思います。
そこに対して、インプットにこれだけ前向きに取り組まれているっていうのは、ものすごく素晴らしい活動だなと思っていますが、どんなマインドがそうさせるのか聞かせていただきたいですね。
細田 そうですね、インプットの機会が持てているのは、ひとえに上司を始め、チームの皆さんの理解のおかげだと思っていますが、やっぱり私個人として本当に意味のあることをやりたいとずっと思っていました。何か物事がうまくいかないときは、色々な課題が組み合わさっていると思います。私は自分のスキル不足だったり、自分の視座がもっと高くなることで違う景色が見られるようになるという考えで、自分の心の向くままにやっています。
平地 素晴らしいですね。でもそういう人たちが、スポーツビジネスを盛り上げていく世代にいるというのは、業界としたら未来ある情景だなと思って、本当に素晴らしいなと感じてます。すみません、感想しか言えてなくて大変恐縮ですけど(笑)。
細田 金が先か、人が先か、みたいなことをスポーツ業界ではよく言われると思いますが、お金を生むにも、今いる人が頑張らなきゃいけないというのは、わりと思っているところではあって、仲間たちと常々言い合っていることです。
10年後、20年後のスポーツ界、ひいてはスポーツ界から変わっていく社会をよりよくしていくために、今自分たちが頑張る必要があります。私と同じようなブランド側のスポンサー担当は決して多くはないですが、コンテンツホルダー側で働く友人たちとも、それぞれが踏ん張ることが大事というのは常々言い合っています。「俺も頑張るからお前も頑張れ」というようなことはお互い声を掛け合っているのはありますね。そういう仲間にSports X Initiativeを通じて出会えたのは良かったと思います。
平地 その世代の方の座談会などはコンテンツにできるとおもしろいなと思ったので、そんなタイミングが作れるのであればご協力をお願いしたいなと思いました。よろしくお願いします。
スポンサーシップ・アクティベーションへの考え方
平地 さて、ここまでで細田さんの今までのキャリアのお話と、今取り組まれているお話をたくさんお伺いできました。続いて、楽天のスポンサーシップについての話に移っていきたいと思います。まずは、細田さんにとってスポンサーシップ、スポンサーアクティベーションというのはどういったもので、どういったものであるべきなのか、お考えをお伺いできればと思います。
細田 ありがとうございます。スポンサーシップは、釈迦に説法ではありますが、まずチームなどのコンテンツホルダーにとっても重要な収入源の一つであることは確固たる事実で、それに加えて、さらに一歩進んだパートナーシップにおいては、パートナーシップ企業のアセットを使うことができる、またとないきっかけだとも思っています。
パートナーシップをうまく活用すれば、パートナー企業の顧客層に対してアプローチすることもできますし、パートナーシップを結ぶことで、チームにとっても金銭以上の価値があるものだと思っています。
ブランド側の立場から見ると、スポーツコンテンツのスポンサーになると、色々な方との接点が持てるようになることが強みだと思っています。公共性が高いというスポーツの特性を生かした活動を展開できるのがスポンサーシップの特徴ですよね。
例えば楽天グループでいうと、東北楽天ゴールデンイーグルスを運営し、楽天グループ株式会社としてスポンサーにもなっていますが、ファンはもちろん、仙台市さんなど行政含むその地域の方々や、他のスポンサーさんと接点を持つことができています。
また、スポンサーシップの目的ってTo C、To B、To E、ホスピタリティ、ブランド、CSRの6つあるよねとか、色々と言われていますが、企業によって全くスポンサーシップの使い方が異なり、本当にケースバイケースだと思うので、そこを売るチーム側もそうですし、買う側の企業側がどう戦略的に考えるかっていうことが、非常に重要なものだと考えています。
平地 僕も、スポンサーのあり方を考えさせられることも多いですし、個人的に発信をさせてもらうことも多いですが、僕がすごい思うのは、このスポーツチームってステークホルダーが多くて大変だよねって言われるなかで、そのステークホルダーとの付き合い方が今正直うまくいっているのか、というところも懸念点としてもあるなと。
そのなかで、今細田さんからステークホルダーがたくさんいるからこそ、めちゃくちゃメリットあるし、その活かしようによっては、めちゃくちゃ面白くなるじゃんっていう話をいただいたと勝手に思っていますが、僕としてはそこにものすごく共感するところがあって、それが本当にプロスポーツチームが持つ企業としての強みなのかなと最近は思っています。今おっしゃっていただいた内容って、そんな認識で間違ってないですかね。
細田 そうですね。東北楽天ゴールデンイーグルスもヴィッセル神戸も、グループ企業ですが、楽天がスポンサーでもあり、特殊なスポンサーシップだと思うところもあり、だからこそやりやすいところもあります。
グループだからこそ、一緒にここはやっていきましょうって言ってくださるチームの方も多いです。チームの窓口の営業の方やコンセッションの方、広報の方もそうですし、グループだからこそ、球団内の色々な方たちとスムーズに連携できて、かつその方々が向き合っている外のステークホルダーとも必然的に連動できるってことは、とてもおもしろいことやらせてもらえていると思います。そうした環境だからこそ、スポンサーシップってもっともっと可能性があるのではないかと思えているのがうまくいっているところかもしれないですね。
平地 ありがとうございます。今の細田さんのお話はものすごく僕も共感をさせてもらいました。続いて、楽天という企業が考えるスポンサーシップや、スポンサーシップすることの目的や何に重きを置いている点に関してはどういう感じですか?
細田 楽天は今年25周年を迎えますが、スポンサーシップに対する考え方もフェーズによって変わってきているかなと思います。
いまあるスポンサーシップのなかでは2005年からの楽天イーグルスへのスポンサーシップが一番古いですが、当時まだまだ楽天の認知度が低かったときに球界参入して、一気に知名度をあげた、その時のインパクトはすごかったと昔からいる社員から聞きました。
ただ、そのころから役割はどんどん変わってきていて、ブランドの認知度よりは、ブランドへの好意度やイメージ形成への貢献というのがメインになってきていると思います。
平地 なるほど、なるほど。好意度ですね。エンゲージメント、ですかね。
細田 そうですね。私たちのチームとしては、グループ全体で掲げている「人々と社会をエンパワーメントする」というミッションをスポーツの力を使って達成していくことを目指しており、その中でも大きくブランド貢献とビジネス貢献という2つの目標を立ててやっています。
楽天は、特に国内において認知度が高いので、認知を上げていくことではなくて、スポーツを通じて楽天のメッセージを伝えていくことに重きをおこうとしています。
例えば今年は楽天25周年ということで、グループ全体で「Tech & Green」という2つの大きなテーマを掲げてブランディング活動を展開しています。楽天のテクノロジーと、グリーンな未来へのコミットメントを示すことで、25周年を機に、これからも未来に向かって挑戦を続けていきますというメッセージを発信しています。
我々スポンサーシップアクティベーションのチームとしても、このメッセージを、スポーツを通して発信していきたいというところで、スポーツの文脈に咀嚼をして、「スポーツの未来を共に創ろう」というメッセージのもと、様々なアクティベーションを展開しています。
平地 なるほど、ありがとうございます。ちょっとお話戻ってしまいますが、スポンサーシップと、楽天さんでいうとオーナーシップもあると思いますが、これって両方持っていることで何か大きな違いも出てくるものですかね。
細田 そうですね。私自身、経験としてオーナーシップだけ持っているという経験をしたことがないので、ちょっと正確にはお答えしかねますが、オーナーシップを持っている前提でスポンサーシップの活用も進んでいくので、そういう意味では、本当にやれる幅が広いということは感じているところです。
平地 ありがとうございます。最近楽天さんと同じようにスポンサーシップやっているとこからオーナーシップに入っていく、というような企業さんが増えてきていると思うので、皆さんスポンサーシップの中でやりきれなかったけど、オーナーシップをとったことで、たくさんやれることが増えて、効果も出せているみたいな話もあったりするので、そこでちょっと違う部分があるのかなというのが気になるところでした。
細田 そうですね。そこは明確にあると思っていて、例えばヴィッセル神戸や東北楽天ゴールデンイーグルスのファンの皆さまには、一般的な楽天ユーザーの平均よりも多くの楽天のサービスを使っていただいています。
これは、オーナーシップがあることでチケットを楽天IDと紐づけて販売できていたり、キャッシュレススタジアムのような思い切った施策を実施して、実際に楽天ペイを使っていただく体験を球場でしていただくことができているおかげなのかなと思います。ファンのカスタマージャーニーの中に楽天サービスをちりばめることで、自然にサービス利用のきっかけを作り、それが日常生活にも広がって、スポーツファンが楽天ファンになるといった効果を見ていると、やっぱりオーナーシップのパワーはすごくあると思っています。
平地 ありがとうございます。東北楽天ゴールデンイーグルス自体は楽天のチームでありますが、楽天さんとしても70以上のサービスがあって、それぞれでスポンサーに合わせてたくさんの取り組みをしており、東北楽天ゴールデンイーグルスだけでも冠試合に関しては楽天グループ株式会社としててだけでも年に2回ぐらいあったり、楽天カードの方でも5回もあったり、楽天銀行の方でも2022年においては1回ですかね。色々な形でスポンサーされていると思います。
それぞれの取り組みに、もちろん冠スポンサーなので意義を出されていて、なかでも、お話しいただいたこの「スポーツの未来を共に創ろう」というコンセプトをもって、スポンサーアクティベーションをやられている、そのコンセプトに対して複数回イベントが行われるというのは、あんまり他のクラブや球団からは聞かないかと思っています。コンセプトをもってやられていることの意味など、そうしたところの話をお伺いできればと思います。
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後編へ続く
今回は前編ということで、以下について書かせていただきました。
・はじめに(細田さんの自己紹介)
・朝日新聞
・楽天
・スポンサーシップ・アクティベーションへの考え方
後編は東北楽天イーグルスとのスポンサーシップ事例と楽天ジャパンオープンについて紹介します。後編は10月後半公開予定です!
インタビュアー紹介(平地大樹)